合宿生活は食べないと負ける。

 

 

 ごはんは給食のよう。朝、昼、晩とナースステーションのところからお膳をとって、食べたらお膳を戻す。食後はお箸をあらって・・・。あとは、面会場所にお湯のポットがあったのでインスタントコーヒータイム。みんなの集会場だった。しゃべりすぎてると、回診するのにいない!と呼び出される。なんども院内を捜索される不良患者・・・だった。

 

 食べないとホントに元気出ない。痛み止めも何か食べないと胃に響いて・・・飲めない。

でもそんなに毎回、メニューが好きなわけではない・・・・大活躍は梅干し。少し甘めの南高梅。そして、おいしいお塩。万能。

 それとあまりでない果物。メニューに果物があるとうれしかった(笑)。お見舞いに来て下さるにも果物をリクエスト!こういうときにカットフルーツは元気の源に。Sさんありがとう!

 

 とにかく日常生活に戻すためのリハビリが超大事とされる。私のクリニックは特殊な?たいそうでリハビリする。時代がわかるが、フォークの名曲、バラが咲いた の音楽に合わせて踊る。(写真貼れる)私の母も体験したし、以前取材した女性たちもこの曲に合わせて午後3時の体操。ずっと変わらない。

 

 腕を回したり、あげたりする、単純な動きなのだが、手術前できたことができない・・・。これがショックだった。まず、まっすぐ腕が伸びない。胸を張ると痛い。ピリピリ張る。毎日、腕はどこまで上がるか、腕がむくんでないか、測定される。なんで入院したときに腕回りとか、腕の上がり方とか角度とか測るのだろうと思っていたが、前後の比較とようやくわかる。前の通りに完全に戻ることは難しく、違和感との闘い。いつになったら何にも気にしなくなれるのかな、としんみりしてしまった。

 

 そんなときに頼りになるのはやっぱり先輩患者さんだった。私の場合は、以前に取材してきた患者さんにメールしたり、メッセンジャーで悩み相談。前提の説明がいらないから答えが的確、明確。でも最終的には個人差と何度も言われた。父のころとも母のころとも違う個別化治療。ひとりひとり全く違う。だから難しい。

 

 今思うと、入院期間なんて最初の一瞬で、退院したあとの生活の方がもちろん長い。家にに帰ったあとからが本当の勝負。一人じゃ何もできない。退院後のために、仲良くなった人たちとlineグループをつくり、いちいち報告。これが非常に今も助かっている。みんな住むところも環境も違う。それでもなんか力が湧く。みんな頑張ってるよね、って。これがココロを支える。

コロナ禍で隣の人とも話せず、お見舞いの人にも会えないという。今病院でじっと耐えている方、ひとりじゃないからと背中をさすり、声をかけてあげたい。

 

 ドレーンという管から出される廃液の量は1日2回ほど測られる。一定の量(病院によって違う)よりも少なくなったら退院の目安となる。量が少なくても真っ赤だったり、量が多くて、透明だったり・・・。これもひとそれぞれ。キズの向きも人それぞれ。退院前にキズの抜糸できるところまで行く人もいれば一旦退院して、通院で抜く人も。傷口が化膿したり、硬くなったり、筋張ったり・・・・。これもひとそれぞれ。

 

 まず右側が8日目に取れ、9日目に左がとれた。軽く体内で縫いつけられているそうでちょっと思い切り引き出さないと抜けない。息を止めててね、と言われて止めようかなと思った瞬間にずばっと抜かれた。動きの制限がなくなったのはよかったが、傷は傷。まだまだ横向き寝はできそうにない。

 

 ドレーンがとれると、退院日が決まり、看護師さんから下着や退院後の説明を受ける。その病院によってセオリーは違うが、日常生活についてかかれたパンフレットとかブラジャーの現物を見せてもらった。何かとモノ入り。

 

 これまで何気なくつけていたワイヤーつきのものはすべて家に帰って捨てた。傷に当たる。まだ傷から廃液が出たりする可能性もあることから上半身はガーゼで巻いていたが、それでも乳腺がない、というのはこんなに守られないものなのかと実感する。

 

 そこで、患者さんとよなよなの会話となる。ブラ、何を使うか問題だ。あれやこれやとリサーチ開始。乳がん 下着で検索すると結構出てくる。いろんな企業がいろいろ開発していることに気づく。その企業ごとの工夫はそれぞれ。まさに普通の下着もそうなのだろうが、どれが自分に合っているかは使ってみなくてはわからない。もともと敏感肌ということもあり、縫い目が嫌い。縫い目がないのものは非常にこすれづらい。最初は胸帯という保護の下着を使うだが、網目がいやだし、前開きのボタンも何か違和感。さらに、私の場合は両胸ないので、動きによっては固定されないのでずり上がってくるのだ。

 

 結論、愛用しているのは、G社のタンクトップ。パッドが出し入れできるので非常に便利。冬物も夏物もある。正規で買うとそこそこのお値段なので、福袋になったものを買うなど工夫。ただでさえ医療費やさらに着るものも買うことになるので出費の連続だ。しばらく腕が上がらないのでかぶりものの洋服も脱ぎ着が大変だし、胸があいたVネックやデコルテが出るようなものはもう無理だ。

 

わかってはいたが、着てきた洋服はもう似合わない。