病院の生活は規則正しい。

 

 

朝は7時に起きて検温。ごはん食べて、回診があって・・・

昼ごはん食べて、午後3時にリハビリ体操があって夕ご飯食べて寝る。これの繰り返し。なかなかつらいのが体が自由に動かないこと。内臓系の手術をしているわけではないのですぐにごはんは食べられるけれど、胸やリンパ節を切っているのでドレーン(廃液の管)がお友達。控えめに言っても、何をするにも...邪魔、だ。

 

 

 私は両側だったのでたすき掛けにして常に一緒。ほんのちょっとトイレにいくのも必ずたすき掛け。軽いプラスティック製の器だが地味に重い。歯磨き・顔を洗う・髪を洗う・・・揺れる、動く・・・ほんとに邪魔。腕をぐるぐる動かそうとすると手術跡は痛むし、可動域もまだ狭い。お風呂に入れるのはまだまだ先。

 癒しだったのは朝のホットタオルタイム。体も自分ではふけず、看護婦さんがいないと何にもできなかったが、あったかいタオルで背中を拭いてもらえると落ち着いた。(数日後からはノックのように自分でやって、って言われたけど、(笑))

 

 最初の5日間くらいは熱も下がらないし、痛み止めをいつまで飲むのかという恐怖。痛み止めを飲んでも飲まなくても変わらないからやめた!という他の合宿中の患者さんの声を聞いて、6日目からはやめた。

正直変わらなかった。痛い場所も毎日違うし、胸のハリも毎日違う。胸のハリは術後も毎日変わる。一番固かったのは2か月目くらい。個人差はあると思うが5か月過ぎてだんだん柔らかくなってきた。一方で増えたのは腕から指先にかけて毎日チクチクした痛み。毎日程度は違うが、3年たってもあまり変わらない。

 

 手術後ではリンパなどが腫れ上がるリンパ浮腫に・・注意しなくてはいけないので荷物なんて持てないし、腕をちょっと使うだけでダルい。携帯電話でメールすることすらだるい。。

でもあと数日で退院したら全部自分でやらなければならない。リハビリも日常生活に戻るための大切なノルマ、なのだ。

 

 胸といえば、5日目くらいに傷を見るように看護師さんに促された。家に帰ってから一人で見られずに、精神的に不安を抱えたり、ショックを受ける人が多いことからこのクリニックでは入院しているうちに一度見てもらう、と。

結果的にいうとショックはショックだったが想像よりはマシだった。先生が一生懸命なんとか喪失感がないように、とやってくださったんだな、というのが理解できた。この胸の傷の話、合宿の夜でもみんなで話した。見るように言われてようやく見れた、とか、見れずに明日にした、とか。術式やがんの場所によって、乳頭があったりなかったり、皮膚も残っていたり、なかったり、傷も縦だったり、横だったり、斜めだったり・・・。みんな違う。

 

 温存の方は乳腺もある程度残っているけれど元の胸の大きさを考えると左右差も出て、体のバランスも崩れ始めたという。全摘したあと、自家組織で再建されたサバイバーさんがお見舞いに来てくれた。一緒に合宿中の患者さんにもその再建後のお胸を見せてくださった。とてもきれいな仕上がりで勇気をもらった人も多かった。頼るべきはピア友。

「ほぼ元の姿に戻った。身体のバランスもそのまま」だという。

 

 私は両側で一気に両方失ったので前後の身体のバランスが変わった。ぺったんこ過ぎて、これまで乳腺ってちゃんと体をサポートしてたんだなと実感。ちょっと説明が難しいのだが、ドッチボールとか前から来る人にぶつかられたら怖い。クッションがないので、直で骨(若干胸筋)なので・・・。いまだに恐怖感あり。

胸帯を手術後はしているので、入院中はなんとなくカバーされてるけれど、左右に傷とドレーンがあるので寝返りすら苦痛。。

 

 合宿トークでも、退院したらどうやってこれまでの下着を使うのか。新しい下着は何がいいのか?パットはどれがいいのか?みんなでネットサーチしながらあれやこれやと話す。

 

 とにかく縫い目が傷に響くので縫い目のない下着を探さねばと今愛用しているのはG社の乳がん患者さん用のもの。これも合宿トーク中にみんなで見つけたもの。胸の傷も人によっては化膿したりと大変だ。きれいに治ってほしいので、そのためのテープも買わねばならない。テープも向き不向きがあり、さらに貼り方によって、皮膚がシワシワになったり、化膿したりする。いかにかつ、自分の傷を見て悲しい気持ちにならないようにするか・・・。入院治療費だけではなく、いろいろ物入り、になってしまうわけだ。