いよいよ入院
7月25日、小型のスーツケースをごろごろして、入院。入院して最初のお昼は、土用の丑の日を前に、うなぎ!だった。術後の腕のむくみを判断するために腕周りの計測や病状が進んでいないか、最後のCTやエコーを行い、夕方、先生による前日の診察。そこで驚きの事実を聞くことになる。
先生:聞いた?使えなくなったの。
私:なんですか?
先生:インプラント、使えなくなった。
日本では、2014年から乳がん患者さんに対して乳房の再建が保険適用になっている。そのときから主流だった、インプラント、人工乳房がこの日付けで使えなくなったのだ。あすから手術で使えなくなった・・・。
大げさだが、世界で一番最初に手術がとまったことになる。
正確にいうと、乳房を取り除いたあとに入れる、拡張器、ティッシュエキスパンダーまでは入れられるのだが、その後、入れ替える人工乳房が入れられない。出荷停止になったたった一種類しか日本では認可されていないのだ。
それが禁止されると手術ができないのと同じ意味となる。手術でエキスパンダーだけいれても認可されたインプラントがないといつまでたってもそのままに入れておかねばならない。
しかも、禁止されたザラザラしたものの方が滑らず、固定が効くけれど、緊急的にその後認可される方向が示されている、つるつるのはどうなのか???突然過ぎて見切り発車できるほどの情報はない。
どうすりゃいいのか?胸なくなるのが嫌だから再建するって決めたんじゃん!と思ったし、私は母も乳がん、しかも両側乳がんの場合は、一定の大きさを超えると温存はあまりしない。
しばらく、MRIの画像とにらめっこする先生。温存しようと思えばできるけど・・・と先生は考えてくださったが、全摘を決断した。
幸いながら、乳頭にまでがん細胞は行っていない可能性が大きいということで、乳房全摘ではなくて、乳頭温存の皮膚下全摘、という手術の同意書にサインをすることになった。
どうしよう、と悩む私に、先生は家族を考え『できるだけ長く一緒にいたいと思うじゃないですか』と言い、オットには「できるだけ長く生きる選択をしてほしい」、と説得され、涙が止まらなかった。
部屋に戻って、胸をのぞき込んで「板、だよ、板」とつぶやいてしまった。
胸も大きいわけではないし、もう子供を授かれる歳でもないし、胸があいた服でアピールする歳でもない。
言い聞かせる。
夜ごはんが最後、あとは絶食。両側なので一番最後の手術。ながーい夜だ。睡眠導入剤も預かったが、飲むことなくただただ時間が過ぎていくのを待った。