一番のハードルだったのは働けるかどうか、だった。

 

違うな・・・働けると思ってもらえるかどうか、だ。

 

家にいてももんもんとするだけで精神的なもの以外は特に具合も悪くないことから、手がけている仕事に迷惑をかけたくない、と話し、入院日まで普通に働きたいと話した。

 

両側乳がん、という若干レアな病気に驚かれ、それで今後はどうなのか、と聞かれた。病理検査が出るまで、本当の治療方針はでませんと前置きした上で、仕事が一区切りついた時点で入院。ひとまず一か月くらいを目安に休むことを職場に了承いただいた。同時に実は自分でカメラ回してまして・・・と。

 

もう一回驚かれたが、特に何もなかった。

 

休む選択肢ももちろん提示されたのだが、月末に迫る選挙番組の責任者を途中で投げ出すのは引けたし、できるだけ病のことは考えたくなかった。まだやれる、と自分で思いたかったし、これで終わりだとは絶対に思いたくなかった。

 

 食欲は激減していたが、ある程度おなかはすくし、歩けるし、働ける。病と向き合わざるを得ない時間をできるだけ減らしたかった。病と向き合うのは検査が続く病院通いと夜寝る前とネットサーチばかりしてしまう休みの日だけにしたい。これは今考えるとよかったような気がしている。

 

 上司に会社に伝える、という大仕事からまだ入院まであと3週間・・・。まさか、手術の前日にまた決断を強いられることになるとは思ってもみなかった。