言語の専門家で大学で教鞭をとられている女性、麻衣さんのお話。

 

”がん”にまつわる言葉の”強さ”を感じていて「言語の知識をがんにまつわる言語環境改善に生かす」道を模索中です。

 

  『よっかかられたら痛かった』

 

2019年5月、当時2歳の息子さんを連れて出張の移動中のこと。

 

『よっかかられたら痛い』

 

違和感を感じました。前の年、出産後の検診では授乳中で乳だまりがありましたが”良性だろう”、という判断だったそうです。

その違和感が募り、6月上旬に専門医を受診したところ、がんの可能性が高いという診断を受けました。

確定診断を受けたのは2019年の6月下旬。右の乳房に3.8センチ と2センチ弱のしこり、ホルモン依存のタイプでしたがリンパ節にも転移があり、ステージ2Bという診断でした。

術前・術後の抗がん剤の効果は同じというエビデンスですが、効果が見えることから医師と相談の上、術前の抗がん剤を選択。


4か月にわたる抗がん剤治療を経て11月に手術、、、とおもいきや手術室で帯状疱疹が見つかり、手術を延期。12月の年末に右胸全摘の手術を受け、2020年1月から放射線治療、その後リュープリン→ゾラテックスにタモキシフェンの投薬中です。

医師である夫の助けもあり、あっという間にいろいろなことが進んだいったと振り返ります。

 

阿久津『息子さんが教えてくれたのですね』

 

麻衣さん『抗がん剤をやったので髪の毛が抜けたのです。それを拾う遊びをしてくれて・・・今もまだ3歳で病気のことは分かっていないと思うのですが、当時は励まされました。』

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  言われたときは”頭を殴られたような気分”

 


阿久津『誰もがそうだと思いますが、告知のときはショックでしたよね?』

 

麻衣さん『告知されたときは頭を鈍器で殴られた気分でした。ランチを食べて、きょうはいいよね、とビールを飲んで、気持ちを落ち着かせてから夫に電話しました。夫は(前の年の)良性の腫瘍のことがあったので”きたかー”と言われました。”ずっと気になっていて、自分が早く言えばよかった”と。』

 

麻酔医でもある旦那さん。医療者なのでこのあとどんなことが進み、その結果によってどう選択があるのかなどの次のイメージが湧きます。旦那さんの方がやせていってしまった、と話します。家族も”第2の患者”なのです。