ぼくらの納品作業、第一号はその冬にやってきた。群馬県のとあるゴルフ場、ここではAカントリークラブとしておく。読者の皆さんコンピュータシステムの納品についてはご存じだろうか。おそらくぼくらの納品を正しくイメージできる人はマイノリティである。
納品は大きく分けてハードウェアとソフトウェアに分けることができる。そもそもハードウェアを「納品」することが納品のイメージなんだと思う。それはサーバーやパソコン、プリンタ、周辺機器(バーコードリーダーやカードリーダー)そしてサプライ用品(プリンタ用紙、複写式の計算書、トナーやインクリボン、カードなど)を搬入したり、設置したりする作業なのだ。
ハードウェアの納品に関して、失敗の代表例は以下の通りである。
・数があわない・・・発注ミスだったり、配送ミスだったりそもそも見積ミスだったりする。これがかなり多い。
・ネットワークがつながらない・・・今でもありがちなトラブルなのだが、当時はその比ではない。町の電気屋さんでもネットワークケーブルなどは簡単につくれるし、巷で売っている現在からは考えられないが、プロに依頼しても「10B2って何?」と言った具合でコネクタ一つ満足につくれない。ケーブルは同軸ケーブル(つまりテレビのアンテナ線)だから引き回しには慣れているのだが、終端のコネクタがないと通信はできない。またパソコンにだって最初からネットワークカードが内蔵されていないのだ。読者のお察しの通りだが、当然無線なんて概念すらない。10台あるとこれでまず6台は手間取る。
・電源が取れない・・・単純に長さ、設置場所の問題は当日まで気が付かないのだ。またアース付の三又コンセントはご存じだろうか。二口コンセントにはささらないからアダプタが必要、そのアダプタを当時は「ぶたっぱな」と呼んだ男がいてそれで通じていた。このぶたっぱながなかったり、すぐ外れて騒ぎになったりするのだ。
・ドライバが合わない・・・プラグ&プレイ(この言葉すら古いかも?)なんて機能はMS-DOSにはない。全部自分でドライバを選択して(しかもメーカ毎、機種ごとに違うのだ。さらにインストールする順番まで違うことが多い。)確認しなければならない。もし違っていてもインターネットが普及していないこの時代。フロッピーディスクで送ってもらうしかなかった。
・印字位置合わせ・・・規定の用紙にデータを印刷するのが当たり前だったので、ピタリと位置を調整するのが難しい。単純にアプリケーションソフトのせいではなく、プリンタの紙送り量の調整だったり、余白の設定だったりそれはもう面倒な作業でもあった。
とこのような標準的な(?)トラブルは頻発した。最大の問題は当時のPC-AT互換機!いわゆるDOSVパソコン、今ではこの言い方すらあまり聞かない機器が曲者だった。