雨の夜
やかんの沸く音
足の爪が伸びている
電話が鳴っているけれど
今日は一言も発したくない
ゆうべ幽霊をみた
透き通ってあちこち欠けた
血みどろの兵隊
ぎょっとしたけれど
不思議と怖くはなかった
苦しかったんだね…
私は何も食べてはならない
水も最低限しか飲んではならない
外へ出て空に向かって口を開けた
せめて雨水を飲むために
爪を切るのはやめにした
テレビは消した
真夜中になっても
灯りは点けなかった
無意味な遊び
だからこそ真面目に遊ぶ
雨がひどくなった
風も出てきたようだ
それでも私は
土砂降りの戦場を知らない
喉の渇きを我慢する
ふと尿意をもよおし
トイレにいった
当たり前の習慣で
水を流した