敬愛する同い年の詩人、マダムスノウさんから教えていただいて、
私も大ファンの政治学者、姜尚中氏の新刊本
『心』
という小説を読んだ。
そこには、「死」という動かし難い現実をどう受けとめ、受け入れていくか…
その宿命的課題に真っ向から向き合い、
無意識にも必死に生きようとする青年の赤裸々な姿と
姜氏自身の、ご子息を自死で亡くされた底知れぬ苦悩の姿が、控え目ながらとても印象的に散りばめられていた。
青年は、幼なじみの親友を白血病であっという間に亡くし、
その際に彼にとってはとてつもなく大きな宿題を与えられて
形振り構わず姜氏にすがりつきながら、
手掛かりを求めて
ライフ・セーバーの資格を生かし
東日本大震災のご遺体を引き上げるボランティアに取り組んだ。
生々しい描写に背筋が凍る想いもした。
ライフ・セーバーではなく
「デス・セーバー」
という言葉を姜氏は遣われた。
しかし、「人間の尊厳」は、たとえどんなに無惨な遺骸になっても
決して、決して
少しも損なわれることはないのだ。
人は誕生したその時から、死に向かって歩み始める。
それは生命力の塊のような、愛してやまない孫娘ちーちゃんと言えども同じ。
ならば、死のその時を迎えるまで、
先に逝ったひとびとを大切に我が胸に存在させて
たとえどんなに苦しくとも、
共に生きていくしかないじゃないか!
「生きとして生けるもの、末永く元気で」
この、姜氏のご子息の遺言は
きっと、亡くなっていく時に誰もが願うことではないだろうか?
人間の善性をどこまでも信じる私は
単純にもそんな感想を抱いた。
私自身もそうでありたいと願うから。
「生きることを学ぶために、まず死を学びなさい」
古の哲学者の言葉が浮かぶ。
老いも若きも、
いや、若い人にこそ
是非とも読んでもらいたい、優れた良書である。
(読みやすい文章ですよ)
マダムスノウ様、心から感謝ですm(_ _)m