今日は定席ではあるけれど国本武春師匠を偲ぶ会と銘打たれ、木馬亭は超満員のお客様で埋まった。
🔴国本はる乃    「楽満寺」
🔵澤勇人    「白浪五人男から弁天小僧」
🔵東家一太郎    「弥作の鎌腹」
🔴富士路子    「慈母観音」
中入り
🔵玉川太福    「大浦兼武」
🔶宝井梅湯    「無心は強い」
🔴国本晴美    「仲乗り新三」
🔴玉川奈々福    「英国密航」
はる乃さんは 武春師匠所縁のお話。武春師匠に可愛がられたはる乃さんがトップバッターは適任。見事な舞台だった。3日の国立演芸場といい今日といいこの人は10年後どれほど凄い浪曲師になっていることだろう。
2番手の勇人さん、少し観客の熱気に押され気味だったかな?しかし私の前のご婦人たちが「いい声しているわねえ」と褒めていた。あとは度胸と前に出る強さだ。頑張れ、勇人!
3番手で出た一太郎さんは声よし節よし啖呵よし、その上サービス精神も。大当たり!弥作の鎌腹は忠臣蔵外伝の有名な話で歌舞伎や文楽でも取り上げられる。
中入り前は会長の路子師匠。今日の路子師匠はいつも以上に気合が入っていたなあ。流石の一席。
中入り後の最初は太福さん。まず大入りの客席をその話術で上手く落ち着かせたのはグッジョブ。演題は武春師匠譲りの大浦兼武。大受けの客席。見事に役割をお果たしになった。少し疲れてきていた客席が息を吹き返す。この話を知らない人は是非武春師匠のCDを買って聴いてみましょうね。
講談は梅湯さん。空気を読んであまり前に出ず当たり障りのないネタ。しかしこういうことは大切な心遣いだ。
晴美師匠は満場の歓声に迎えられて舞台に。息子の武春師匠を偲んでから話に入った。新三と母親のやりとりなど、胸にジーンときた。まだまだ元気で頑張ってください。
最終公演は奈々福さん。曲師は武春師匠の合三味線を務めた沢村豊子師匠。演題は武春師匠お得意の「英国密航」。今日の会のクライマックスだ。関東節の奈々福さんが、武春師匠をリスペクトして関西節のままで演じた。実は武春師匠急逝を受けての江戸東京博物館での代演に続いて今回は2度目の英国密航。ご自分ではきっとご不満な出来とおっしゃるかもしれないが、超満員の客席をぐっと引きつけ素晴らしい口演だったと思う。武春師匠のファンだが初めての木馬亭だという私の隣のご婦人は目頭を押さえていらっしゃった。お話を知らない人はやはり武春師匠のCDで聴いてね。
今日の木馬亭は、客席も演者もスタッフも全てが武春師匠を偲ぶ気持ちで一体になって、本当に忘れられない空間であったし時間であった。