井上真偽 (いのうえ まぎ)

「恋と禁忌の述語論理」 (2015年1月発行)

 

作者の年齢・性別は不明

東大工学部卒

本作はデビュー作にして

第51回メフィスト賞受賞作

 

 

                            🐍

 

予め注意しておきますが

本作品は非常にマニアックです

 

タイトルに“述語論理”が含まれている事や

目次からも一目瞭然です

 

[目次]

レッスンⅠ「スターアニスと命題論理」

レッスンⅡ「クロスノットと述語論理」

レッスンⅢ「トリプレッツと様相論理」

進級試験「恋と禁忌の・・・・・・?」

 

 

この目次に興味を持たれた方や

次の二つの言明が同じだと言われてなるほど

と思われた方は無条件で手に取って下さい

 

(言明1) この本を書いたのは井上真偽

         だから 面白い

 

(言明2) この本を書いたのは井上真偽

         ならば 面白い かつ 

           この本を書いたのは井上真偽である

 

 

ここで結構な数の方がやめた!と思われた

はずですが、数理論理学の説明の部分は

斜め読みしてミステリーのところを拾う

だけでも、楽しめます。

トリックやオチもよく考えられていますよ~

と遅ればせながらフォローしておきます

 

 

                         🐍🐍

 

注!ネタばらし有り

 

語り部が天才数理論理学者にして美貌の叔母に

殺人事件の解決を依頼します。

だだしこの依頼が一風変わっています。

 

既に探偵によって解決した事件を数理論理学で

検証してもらいたいというんです。

 

ここが作者の工夫で

事件を数理論理学だけで解決せよ

と無茶振りしているのではなく

探偵の推理が妥当であるか検証しろ

と言っているのです

 

天才数理論理学者は見事に

探偵たち (各章ごとに計3人) の論理の穴を

指摘しますが、事件の内容によって

命題論理、述語論理、様相論理を

縦横無尽に使いこなす様は圧巻です!

 

そして最終章でどんでん返し

実は探偵たちの推理に穴はなく

語り部に作為があったことが明かされます

 

 

                       🐍🐍🐍

 

惜しむらくは、本小説、マニアックすぎて

商業的には今一つだったようで

稀代の天才数理論理学者の出番が

この一冊で終わってしまったことです

 

 

(了)