島田荘司

「斜め屋敷の犯罪」 (発行1982年10月)

 

綾辻行人をして新本格ムーブメントは

ここから始まったと言わしめた作品!

 

大御所のこの作品は有名過ぎて

かえって敬遠していました。

クロフツの『樽』に通じる感覚かな🤔

 

駄菓子菓子! パンチさんパクって御免🙏

余生短し挑めよ老人って心境になり

ついに図書館で手に取ったのでございます

 

オラの勝手なイメージとは違い

乱歩調の面白さで

どんどんどんどん読み進みましたよ

透視図で描かれた図面と格闘しながら😅

 

 

 

 

注!以下ネタバレあり

 

オホーツク海を見下ろす宗谷岬に

奇妙な洋館と円柱形の塔が建っている。

何が奇妙と言って、どちらも

ピサの斜塔よろしく傾斜しているのだ!

 

洋館は地下1階、地上3階の建物で

同じ高さの塔が隣接している。

以下説明の便宜上、塔と隣接している側を洋館の東とする

塔は主人専用の建物で、てっぺん付近の

エリアだけ生活用に使っている。

家族 (娘) と使用人、客は

洋館で寝泊まりしている。

洋館と塔の行き来は洋館3階東側に設置して

ある跳ね橋を使いそれ以外のルートはない。

跳ね橋は洋館側からも塔側からも操作できる

なお、この跳ね橋を含め洋館の階段は

金属製ということも申し添えておく。

 

雪降るクリスマスの夜、

洋館で殺人事件が起きた。

殺されたのは客のひとりで、ベッドで寝て

いたところナイフで心臓を一突きにされたのだ

(発見時ナイフは刺さったまんま)。

被害者の部屋は洋館西側角の地下の一室で

部屋にある隙間は、20cm四方の換気口が

壁の上部に開いているだけ。

この隙間から何かしようにも脚立が

必要なぐらいの高さだし、ナイフを発射する

特殊な改造銃のような存在は否定された。

鍵は2重3重にもかかっていたし

地下なので洋館の外と直接接する窓はない。

 

さてこの密室殺人のトリックは如何

トリックが壮大・秀逸にして

それが島田荘司の名とこの作品を

世に知らしめることとなったのである。

 

 

(ネタばらし)

 

 

犯人は伏せておきます。

殺害方法のみのネタばらしです <(_ _)>

 

ナイフ入りのつららを作りナイフの

先端だけ露出させたものを用意しておく。

犯行はこのつららを塔から階段を滑らすだけ。

あとはリュージュよろしく相当なスピードで

寝ている被害者の心臓に飛び込む仕掛けだ。

 

そのために館は精密な角度で傾斜をつけられ

各部屋の壁の然るべき高さの位置に排気口

と称する穴があけられている。

さらに被害者の心臓の位置を動かさないよう

部屋のベッドを寝返りも出来ないほど小さな

固定式のものにするなどという細かい工夫も

なされていたのであった。

 

そう! ひとりの殺害のために莫大なお金と

時間をかけて斜め屋敷は設計・建築されたのだ

 

 

(了)