森 博嗣 (もり ひろし)

「すべてがFになる」 (発行1996年4月)

 

N大工学部建築学科助教授 犀川創平と

同学科一年生 西之園萌絵がタッグを組んで

難事件を解き明かす S&M シリーズ

10巻完結の第1作目です。

 

発行年を見ると今から約30年前!で

インターネットや WWW 幕開けの頃ですが

古式蒼然さは感じられません。

 

謎解きに『ドグラ・マグラ』が引用されたり

犯人像に『かもめのジョナサン』が引用

されているのはミステリファン&同世代を

生きた者としてくすぐられる~

 

これはオラだけの感性かもですが

テイストは

シャーロックホームズ『緋色の研究』です

コナンドイルも森博嗣もデビュー作の頃は

科学者と作家の二刀流だったからかな

 

 

 

ネタばらし

内容に触れています

 

犀川には一生に一度会いたい

孤高の知性があった…

 

舞台は孤島に立つ「真賀田(まがた)研究所」

ミステリよくある設定だが“孤島”にあまり意味はない

警察の到着が遅れその間犀川たちの調査が進む訳

ここは受付からドアの開閉・配膳に至るまで全て

コンピュータがコントロールしている要塞なのだ。

 

研究所で殺人事件が起こる。

被害者は真賀田研究所の次期所長を確実視

されていた真賀田 四季(まがた しき)女史。

 

孤高の天才プログラマー四季博士は

ウエディングドレスを着せられた格好で殺害。 

しかも両手足が切断された格好で!

四季博士の部屋は特定の人物 (所長、副所長)

しか開閉できず24時間監視カメラが回っている。

 

そして第2 (犠牲者:所長)、第3 (犠牲者:副所長)

の殺人事件が発生する。

鉄壁なコンピュータ管理・監視の元

誰が、どのように犯行を行ったのか

 

                         x x x 

 

全ての犯罪に共通するのは緻密な計算ですが

第1の殺人の動機・殺害トリックは ・・・

ぶっ飛んでいます!

 

有名なホームズの名言を借りると

不可能なことがらを消去していくと、

よしんばいかにあり得そうになくても、

残ったものこそが真実である、と

そう仮定するところから推理は出発する

 

ホームズを引き合いに出したついでに言うと

シリーズ第1作目の本作品で

 

犀川創平           ⇔      シャーロックホームズ

西之園萌絵        ⇔      ワトソン      

真賀田 四季       ⇔      モリアーティ

 

という対比が鮮明に浮かび上がってきます

シリーズ本作だけ読んだオラの想像です

 

これは10巻全て読みたくなるでしょう!    

 

なおタイトルの“F”ですが

業界の方ならあれかとピンとくると思います

0123456789ABCDEF

0000 ⇒ FFFF

 

 

(了)