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仮にも王が、罪や怠慢をなかったことにしたらいけませんよ。僅かに出る良い玉は驕王の手に渡ってしまい、範に送られてくるものは礫ばかり、それさえ年々減っていた。このうえ、泰麒が亡くなられるのを待てと言うのですか。「洗脳……みたいなものだろうか」 陽子は|呟《つぶや》く。 ──|身喰《みぐ》いだ。──これもまた、本人の言動が報いるに値するかどうかを決する、という実例でございますね」 5「──お身体はどうですか?」 李斎が|夕餉《ゆうげ》を抱えて臥室に入ると、泰麒は起き上がって窓の外を見ていた。なにかにつけて発せられる言葉、行われる行為、それらのものから考えて、私には李斎殿が戴さえ良ければ慶など知ったことではない、と考えられるような方には見えませんでした。そして、その判断が誤っていたとは思われません。意向を伺うように見つめられ、グッチ財布。白い顔は不安と緊張でさらに青白くなっている。雲海の上、禁門の門殿の前で待っていた陽子が迎えたのは雲海を越えてやってきた三人の客人、尚隆と六太、そして今一人、金の髪を持った娘だった。今日はもう休まれてはいかがか。けれども誠心誠意それを望めば、必ず結果がついてくるというものではないと思う。阿選は泰王から盗んだ羊を絞め殺そうとしているようなものではないか」 はい、と李斎は頷いた。ただ景王が雁にいる、それだけの体裁が整っていさえすれば罰は発動しないんだ」「しかし……それは|可怪《おか》しくないか?」「可怪しいとも。

その白々とした明かりが落ちる玉座の一方に、一人の女の姿があった。今更ながら自身の選択の重大さが身に|沁《し》みた。落ち着いて」 跳ね起きようとした李斎を、陽子は押し戻す。「洗脳……みたいなものだろうか」 陽子は|呟《つぶや》く。 彼は中庭に|佇《たたず》んでいたはずだ。──だが、そうやって何重にも外界から切り離された小さな空間の中には、|温《あたた》かな灯が|点《とも》っている。「ずいぶん気安いと聞いているが」「……はい」「では、李斎から一度、訊いてもらえるだろうか。何らかの弾みで流血沙汰を起こし、|箍《たが》が|外《はず》れて止まらなくなったのかも」 ──そして、本性を失くし深く病んだ泰麒には、使令を抑える力が、もうないのだ。求めてこちらに来ることはできないのだ、と。税の徴収を|撥《は》ね|除《の》けたのだった。戴にいたのは本当に僅かのことで、しかも子供で、だから社会のことがまるで分からなくて、右往左往しているしかなかったんです」「それはこれからだよ。 まさかその僅か数ヶ月の後に、全てが崩れ去ろうとは、夢にも思っていなかった。「延王が|斃《たお》れたときに。とにかくお部屋までお送りしましょう」 俯いた泰麒の手を取り、|正寝《せいしん》のほうへと抜けていきながら、李斎はできるだけ明るい調子で話をした。……で、|氾《はん》王はどういう方だった?」 氾王はその在位三百年、南の奏、北東の雁に次ぐ大王朝だった。

その巨悪が取り除かれたことで動きだすであろうと思われるあらゆるものには監視がつけられ、用意がなされた。|白圭宮《はっけいきゅう》の西の一郭。「振ってきたようですね」 杜真は何となく息をついて、すぐ傍の|凱之《がいし》に声を掛けた。夜を徹して続けられた捜索は甲斐もなく、そして、文州から飛んできた|青鳥《しらせ》がこの捜索を否応なく棚上げにしてしまったのだった。……けれども、台輔には、やっぱり通りませんでした」「麒麟の気配が見えましたから」 言って景麒は溜息をつき、一礼をした。おそらくは、それが驍宗が姿を消したときなのだ、と思う。同時にそれは、彼自身ももう覚えていない、もう一人の彼──泰麒にとっての長い喪失の始まりだった。素性の知れない|民草《たみくさ》を重んじ、慣例を踏みにじり、国の威信も官の誇りも意に介さない」 そうだ、と|こん人《こんじん》の一人が落ち尽きなく剣を握って身を屈めた。──ただし、轍囲の民を一人たりとも傷つけてはならぬ」 驍宗は宣じた。台輔だって、はるか高みのお方です。阿選は驍宗の麾下ではないが、巌趙らからも一目を置かれている。特に女の右腕は、真実|深手《ふかで》を負っているように思えた。「失礼ですが、花影殿はどうして私をお訪ねくださったのですか?」 花影は、物思いから覚めたように李斎を見た。とても悪い、恐ろしいことが泰麒の身の上に起こった。椅子の上に片膝を立てて、頬杖をついた。