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「それで彼女──李斎は慶を訪ねてきたんだろうか。「こうして、改めて申し上げると妙な気がしますね。友達……という言い方は変かな。「王母ならば泰麒を助ける術をお持ちかもしれぬ」「西王母が……おられるのですか? 実際に?」「無論、おられるとも」 来や、と声を残し、玉葉は廟へと向かう。背後には景麒と|太師《たいし》の|遠甫《えんほ》の姿も見える。宰輔が斃れた例もある。自然に|瞼《まぶた》が落ちてきた。残された左手で胸を押さえ、そして顔を上げた。いろんなものを懸案して、慎重に事を進めるのが本分です。 ──しかし、誰が? 汕子は確かに蝕の最中、ひとつの人影を見ていたが、それが誰かを見て取ることはできなかった。人心のためにどこかで悪しき時代は終わったのだ、という区切りが必要だし、それに最も適した機会は即位礼から続く王朝初頭の一時期だろう。いつもそうだって知っているから、李斎のいうことが本当なのか分からない」「……|台輔《たいほ》」「もしも|琅燦《ろうさん》の言うことや、下官の噂話のほうが正しかったとしても、|李斎《りさい》は違うって言うんだろうな、って。その一方が王になり、その一方が臣下となる。できればお怒りにならないでくださいと」 虎嘯は頷き、そして門殿へと歩み寄った。 驍宗が朝廷へと送り込み、傾く朝廷を支えさせ、驕王が倒れて後は、沈みゆく国土を支えさせてきた麾下たちが新王朝の柱となり、驍宗の朝廷は革命から僅かにして堅固な態勢を築いた。

だから逆賊は乱を起こし、主上を|誘《おび》き出すことにした。李斎がそんな見下げ果てた振る舞いをすれば、戴の民の全てが見下げられるだろう。……それが何しろ、あそこにおられたのは、他の国の王様や台輔ばかりで、俺には敷居が高かったし、事が事だけに、俺が|覗《のぞ》き見をしたり立ち聞きをしたりしちゃならないような気がしてたんだ。そしてあたらが、|景麒《けいき》」 言われて李斎は、ここでも泰麒を基準に全てを把握していた自分に気づき、苦笑せねばならなかった。門前で待つと、予告通りに二頭の|すう虞《すうぐ》[#「すう虞」の「すう」は「馬」偏に「芻」の字。こんな事を耳に入れて、不快だと思われるでしょうが。他にやりようがないんだ。轍囲が戦乱の渦中に落ちこんで、驍宗がこれを看過できるはずがなかった。 ……そう、確かに李斎らは、ここを出て戴に戻らなければならない。「──こんな時間に何をしてんのかなあ?」 唐突な声に、李斎が振り返ると、グッチバッグ|園林《ていえん》の暗がりの中に六太が立っていた。飛び出すと同時に高く舞い上がり、地上が|霞《かす》み、形状を見失うほどの速度で突き進んでいく。……これは戴のためにだけ、やっていることではないから。汚れた顔が真っ青になっている。 こん人は勿論、杜真も凱之も他の兵卒たちも驚きのあまり気を|呑《の》まれ、行動を起こすのが遅れた。凱之の後を|蹤《つ》いていった杜真は。

「遵帝が|登霞《とうか》なされて、通例通り、|御璽《ぎょじ》から斎王御璽の印影が消えた。「まさか、慶に助力を願うと? ……そんな」「なぜ、いけない」「だって李斎──王は国境を越えられません。花影はただ、この急激な変化そのものが恐ろしいのではないだろうか。「そもそも自らの手で支えることのできるものを我と呼ぶのではないんでしょうか。「まことにありがとうございます。──伸べて、改めて気づく。「伏してお願い申し上げる。それによって|損《そこ》なわれていくのは彼の中に閉ざされた獣としての彼だけで、殻としての彼は|些《いささ》かも損なわれることがなかったからだった。僕が子供だから、心配させまいとして、そう言うんです」 李斎は困惑し、その場に|膝《ひざ》をついた。「できるだけの司令を使って、災異が最小限に留まるようにする。景麒が渡ったとき、どうだった?」 六太に問われ、景麒は頷いた。これが雲海の下へと続いていた。「これを……どこで」「範で。 これが、という思いと、なぜ、という思い。Unicode:U+9A36]は南へ向かって消えていった。