暗黒時代を早く書き終わらせたいので

一気に3投稿目いきます

 


 

格さんは責任を取ると言いますが

英さんが認めるわけがありません

 

中絶費用だけ出してくれればいい

それが終われば

もう近づくことは許さない

 

 

それからも英さんの監視は続きました

 

妊娠してるなら避妊する必要はないだろうと

英さんはゴムを着けずに行為してきました

 

カンジダの治療中で薬が入っているからと言っても

問答無用でした

 

機嫌が悪くなると叩かれ

流産の費用も勿体ないからと言って

お腹を蹴ることは増えました


 

私の身体はどうなってもいいと思っても

本能的にお腹を守ってしまうんですね

 

それが気に食わないといって

背中や手足を叩かれました


暴言と暴力の毎日


でも、私は罪人…

何も言い返す権利など無かった


 

 

母体保護法の指定医を探し

中絶の手続きを始めました

 

ところが、私は19歳の未成年

親の承諾が必要だと言われました

 

 

両親に話さなくてはならない

 

 

母に電話で伝えると

両親そろってすぐに上京してきました

 

相手の子(格さん)と話をさせなさい

英さんは当事者じゃないから居なくていい

 

母は英さんのことをあまり好きではなかったんです

 

 

格さんは私の両親に土下座して謝りました

 

責任を取らせてほしい

結婚を認めてください

お金のことは心配ありません

毎日バイトしてでも稼いで養っていきます

 

両親は格さんに静かに言いました

 

大学生の本分は勉強することです

このことは人生の学びだと思って

これからを生きていきなさい

 

格さんは泣く泣く両親に説得されました

 

親に承諾書のサインをもらい

私の中絶日が決まりました

 

 

あの秋の日は今も覚えています

 

前日に入院することになり

産婦人科の6人の相部屋になりました

 

私の周りはカーテンで完全に仕切られました

 

同室の他の妊婦さんの声が聞こえます

出産を楽しみにしている会話が聞こえます

生まれたばかりの赤ん坊の泣き声が聞こえます

赤ちゃんに語りかける優しい声が聞こえます

 

そのなかで私はひとり

物音を立てずにじっとしていました

 

ひとつの命を奪うことへの恐怖

これから起こる手術に対する恐怖

ひとり声を殺して泣きました

 



手術当日

 

看護師さんから麻酔をするので

数を口に出してカウントするように言われました

 

1…2…3…4…5…6…7…

 

7を数えたところで世界がぐにゃりと曲がり

私は意識を失いました

 

 

目覚めたらぼんやりとした視界に天井が見えました

 

確かにあったはずのお腹の中の命が

いまはもう無い…

とてつない喪失感におそわれました

 

またひとり静かに涙を流しました

 

 

それからは親と約束していたことを実行しました

 

残りの浪人期間をただ勉強に費やすこと

 

親の気持ちを踏みにじってしまったことへの後悔

もう後がないことの危機感

 

今まで何をしていたんだろう

 

弟の分まで頑張ると決めていた私

どうしてこんなにも弱くなったのか!

 

自分を自分で叱りつけました

 

もうやるしかない

 

 


そして無事に第一志望の大学に受かりました


やりきった感はありましたが

結果が出るまではドキドキしてました


結果を見た瞬間に全身のちからが抜けてしまいました


 

夏まで真面目に勉強していて

それなりに偏差値が上がっていたことと

 

火事場の馬鹿力とでもいうのでしょうか

最後にガムシャラになって勉強したお陰だろうと思います

 


 

大変な親不孝をしてしまったけれど

1年の浪人でなんとか合格できました

 

もう一度やり直せると思いました

 



黒歴史はここまで


この後もトラブルはありますが

ここまでひどい話はありません



もう思い出したくないな…


でも、この黒歴史があるからこそ

今の私が形成されてきたのだと思います