ルビー・スパークス/RUBY SPARKS | 映画とともに生きる

映画とともに生きる

気がつけばいつも、生活の中に映画がある

【★評価】 (五つ星評価)

★★★
映画とともに生きる


【解説・ストーリー】
天才と騒がれ若くして華々しいデビューを飾った小説家のカルヴィン。しかしその後が続かず、今や極度のスランプ状態に。すっかり心を閉ざし、セラピーに通う彼は、セラピストのアドバイスで、理想の女の子“ルビー・スパークス”をヒロインにした小説を書き始める。すると突然、現実の世界で彼の前にルビーが現れる。しかもカルヴィンがタイプライターを叩けば、ルビーはその言葉通りに振舞うのだった。この魔法のような出来事に戸惑いつつも、ルビーとの日々に幸せを感じるカルヴィンだったが…。


【レビュー】

ジャケット写真からして、
ほのぼのしたファンタジー作品かと思っていたんだけど、、

考え方次第では、意外とホラー作品かも。

自分が書いた小説の主人公が現実世界に現れ、
自分が書いた通りの行動をとる。

「彼女はフランス語を話す」

と書けばフランス語を話し始め、
「彼女はカルヴィン(主人公)なしでは生きていけない」

と書けば彼からべったり離れなくなる。

主人公カルヴィンは、自分が生み出した理想的な彼女と

なんとか上手く付き合っていきたいと思うものの、
なかなか思うようにうまくいかない。

自分の思い通りにならないと、自分の欲求を小説に書き、彼女を操ってしまう。


主人公が、半ばやけになり、彼女を操る行為がエスカレートしていき、

度を超えていく様子が狂気じみて怖い。


もし自分が同じ能力を身につたとしたら、どうなるだろう。

うーん。やっぱり同じように誰かを操ろうとしてしまうかも。


でも、結局それは自分が作り出したものであるから、

他の誰かと感情をぶつけ合うことにはならない。

どちらかというと自分と向き合っちゃう感じよね。

そんなものは、手ごたえもないし、面白みもない。


やっぱりさ、自分とは異なる人間の感情がぶつかるからこそ、

人との触れあいは面白くもあり、刺激的でもある。


昔からよくされる、「好きな好みの異性は?」という質問。

私はこの質問が苦手。


だって、そんなものわからないもん。

好みの人を探り当てて付き合うわけではなく、

結果論として何か合うものがあるから付き合うわけで。


理想と思う異性のタイプを紙に書き出したらその人が目の前に現われるという状況になった場合、

実際に現われた人に対して、おそらく大した魅力を感じないと思う。


自分が想像できない考え方や行動をとるからこそ、

その人に魅力を感じるもの。


結局は、理想の人なんて生み出すことはできない。

そんな気がする。


この作品の極論は、ここに辿りつくんじゃないかなぁ。


【基本情報】
原題: RUBY SPARKS
製作年: 2012年
上映時間: 104分
製作国: アメリカ


監督:ジョナサン・デイトン ヴァレリー・ファリス
製作:アルバート・バーガー ロン・イェルザ
製作総指揮:ロバート・グラフ ゾーイ・カザン ポール・ダノ
脚本:ゾーイ・カザン
撮影:マシュー・リバティーク
プロダクションデザイン:ジュディ・ベッカー
音楽:ニック・ウラタ


【出演】

ゾーイ・カザン     ルビー
アントニオ・バンデラス モート
アネット・ベニング   ガートルード
スティーヴ・クーガン  ラングドン
エリオット・グールド  ローゼンタール博士
クリス・メッシーナ   ハリー