本日の妄想企画会議 議題
Roman Holliday
ローマン・ホリデイ
オリジナルタイトル
「Don’t Try To Stop It」
アルバム「Cookin On The Roof」からのシングル
1983年発売
「ここのところ、新人バンドがどんどん出てきてますね。ものすごいエネルギーを感じます」
「そうだな。どのバンドも個性豊かで若い力に溢れてる」
「今回の ローマン・ホリデイ はロカビリー風のご機嫌な曲ですよ。ソニーのCMにも採用されてます」
「ロカビリーとはうまいとこ狙ったもんだ。今そこにはストレイ・キャッツくらいしかいないから、席も空いてる。新しさとレトロ感の両エッセンスがいい感じに混ざっててノリもいい。かっこいい邦題をつけてやらないとな」
「そうですね。ちょっとヤンチャっぽい雰囲気もありますが、気はいい連中だと思いますよ。ローマン・ホリデイなんてバンド名をつけるくらいですから、結構ロマンチストかもしれないですよね」
「『ローマの休日』か。あれはヘップバーンのためにある映画だよなあ」
「バンド名はホリデイの綴りに『L』が一つ多いんです。さらっと見てると気が付かないんですよね」
「ははあ…ほんとだ。イタズラ小僧みたいだな」
「綴りをイジるあたり、何となく知性も感じますね。ただのバカだと思うなよ!的な。原題は『Don't Try To Stop It』、止めようとするな、ですか。仲間とドライブしながらずっと遊んでいて一週間家に帰ってないんだぜ、とか、もう若さ全開って感じですねえ」
「ふむ、じゃあ邦題は『俺はハリキリ・ボーイ』だな。『俺』には『おいら』ってルビをふる。ちょっとひねって普通じゃないとこ強調だな。」
「『おいら』ですか!一人称を『おいら』っていうのはキヨシローかビートたけしくらいですよ。イメージがちょっと変わってきませんか?」
「『おいら』ってのはもともと男の一人称の複数形で『俺たち』っていう意味なんだから、日本語的には正しいんだ。したがって『おいら』でよし!あと、若々しい躍動感を強調するために『ハリキリ・ボーイ』をつける。これで決まり」
「さっき、カッコイイ邦題をつけてやらないと、って言ってたじゃないですか。それでコレですか?」
「ジャケ写見てもPV観ても『僕たち』って感じじゃないだろ?下町のヤンチャ坊主のほうがしっくりくる。邦題には空気感を乗せないとな」
「『愛し合ってるか~い?』とか『コマネチ!』とかそういう空気感もいっしょにですか?」
「いーじゃねーか、それはそれで。ちょっとヘナチョコっぽいけど根は真面目で素朴、っていう雰囲気が出ればいいんだ。あとはバンドの才能と実力でカッコよくなっていけばいい」
「なるほどですね。わかりました。ではそういうことで決定にしましょう」
ローマンホリデイはこの曲以降ヒットが続かず、相次ぐメンバーの脱退もあってミュージックシーンからフェイドアウトしていきました。ギター担当だったブライアン・ボノムは現在アメリカの大学でヨーロッパ史や環境史の教授として活躍中だそうです。やっぱりただのヤンチャではなかったんですね。