ざらついたスクリーンの光が、地下室の壁を
照らしていた。
プロジェクターが低く唸り、映し出されたのは――
ホテルのベッド。
乱れたシーツ、散らばる衣服。
男と女の影。
――顔は、まだ隠されている。
無機質な光がその輪郭を浮かび上がらせ、
室内の空気が一瞬で凍りついた。
「……何これ」
女子大生の声が、張り詰めた沈黙を切り裂く。
画面右下には、撮影日時。
去年の秋――。
その一行が、場の空気をさらに重くした。
主婦の胸がざわめいた。
背中に冷たい汗が流れる。
(まさか……こんなもの、誰が持っているの?)
「やめてよ」
女子大生が震える声で言った。「誰が映ってる
かなんて、誰にも分からないじゃない」
「そうか?」記者が低く言った。
「だが、場所も時間も出てる。
調べようと思えば、すぐ分かる。」
女子大生が唇を噛む。
主婦は息を呑んだ。
視線が一瞬交わり、互いの中で
説明できない違和感が生まれる。
フリーターが笑いを押し殺した。
「へぇ……動き出したな。“秘密を晒せ”って、
まさか本気だったとはな。」
医師が落ち着いた声で言った。
「誰かが外部と繋がっている……そう考えるの
が自然でしょう。」
記者は唇を噛んだ。
――間違いなく”外”に漏れたようだな。
背筋を冷たいものが這い上がる。
照明がちらつき、古い換気扇が軋む。
沈黙が、再び戻ってきた。
その瞬間――
主婦のポケットの中でスマホが震えた。
震える指で画面を開く。
見知らぬアカウントからのDM。
そこには、たった一行。
「あなたの罪を、私は知っている。」
主婦の瞳が大きく見開かれた。
画面の光が頬を照らし、
その内側で何かが静かに崩れ始めていた。
📩次回予告
暴かれた影。
震える指先。
そして届いた“あの一行のDM”。
次回――主婦の過去が明らかになる。
封筒を投函した夜、
彼女の罪と孤独の意味が、
静かに姿を現す――。
