「AKB総選挙っていっても、選挙ではないよね?」という批判を耳にしたことがある人も多いでしょう。その批判はどのような立場からの批判なのでしょうか。またその批判は合理的なのでしょうか。一緒に考えてみましょう。
最初に、選挙について確認してみましょう。中学や高校のときに、社会科や政治・経済の科目を通じて、選挙について学んだ人も多いはずです。選挙の基本原則をもう一度、思い出してください。現在の日本などで実施されている「選挙」には「普通選挙」「平等選挙」「直接選挙」「秘密選挙」「自由選挙」といった原則があります。それぞれは以下のような意味になります。
①普通選挙~財産の有無や納税額などによって選挙権に差別を設けない。
②平等選挙~選挙権の内容を平等にする。1人1票の原則。
③直接選挙~選挙人が直接選挙を行う。
④秘密選挙~誰が誰に投票したかをわからないようにする。
⑤自由選挙~立候補の自由、選挙運動の自由を保障する。
「AKB総選挙は選挙ではない」と批判する立場は、上のどれかが当てはまっていないと判断しているといえるでしょう。
議論に入る前に、AKB総選挙について確認しておきましょう。投票する権利である選挙権について、資格が有るのは以下です。
a) 21stシングル「Everyday、カチューシャ」通常盤CD購入者
b) AKB48公式ファンクラブ「柱の会」会員
c) 公式携帯サイトAKB48 Mobile会員
d) 公式携帯サイトSKE48 Mobile会員
e) 公式携帯サイトNMB48 Mobile会員
f) DMM.com「AKB48 LIVE!! ON DEMAND」月額見放題会員
ここでaからfのそれぞれの条件は同時に満たすことが可能です。1人で複数の票を持つことができるわけです。
さらに述べると、aのシングルの購入者に注目するべきです。一般にCDシングルは1人1枚購入するものだと思います。AKB48の楽曲の場合は少し状況が異なります。AKB48の場合、CDシングルのジャケットが何種類か発売されます。ある程度のファンになると、それらのジャケット全部を購入する場合が多いようです。今回の総選挙の投票券は、「通常盤Type-A」「通常盤Type-B」に入っていましたので、ある程度のファンはCDシングルだけでも1人2票を持っていたといえます。
ということは、さらに次のようにも言えます。非常に熱心なファンは、1人でシングルを大量に購入して、大量の選挙権を手に入れることができます。どれくらい購入するのかはわかりませんが、実際に今回の選挙では、個人が1人で1000枚のシングルを購入したという噂もあります。
さて選挙の基本原則に戻りましょう。5つの原則の中で、AKB選抜総選挙が特に満たしていないと考えられるのは、「平等選挙」の原則となるでしょう。平等選挙の原則とは選挙権の内容を平等とするということで、簡単に言うと、1人に1票を与えるという原則になります。しかしAKB選抜総選挙では、1人1票という制度ではありませんでした。
選挙の基本原則の1つである平等選挙が破られている以上、AKB選抜総選挙は日本で一般的に思い出されるような「選挙」ではないといえるでしょう。これは当事者であるAKB48メンバーも気が付いています。大島優子は2位の受賞時に、「第三者は、いろんなことを言います。『この票数、ひとり何枚も買って、本当に総選挙と言えるのか?』と。『選挙はひとり1票じゃないのか』。いろんなことをAKBの周りは言います。」と述べ、この問題について的確に指摘しています。
つまりAKB選抜総選挙は日本で実施されている「選挙」と同じではないといえます。それではAKB総選挙は意味がないことなのでしょうか?
*日本で実施されている選挙と同等の場合には「選挙」と表記しています。
