近鉄内部・八王子線が「四日市あすなろう鉄道」に引き継がれて一年。そして更新改造車新260系一編成が登場しましたが車両や駅設備そしてダイヤは近鉄時代そのままです。


一番線ホーム上の物置。
一番線ホーム改札口と物置の間にある池。

内部・八王子線が分岐・合流する日永駅は日本で唯一の軽便鉄道大ジャンクション駅! 今回はその日永駅を改めて探訪しつぶさに観察してきました。大発見あり!(笑)。初めて日永駅を訪ねられるファン氏はきっと感動されるんじゃないかなあ・・。
言うまでもなく駅は無人・・でも駅舎はかつてのままの姿で残っています。


日永駅駅舎と改札口。切符の自動販売機にはさすがに「入場券」はなかったです(笑)。往復乗車券や回数券そして一日フリー乗車券が買えますよ。残念ながら近鉄線との通し切符は買えません。
構内は内部線が上下二線(それぞれ二番線・一番線)で上下ホームは千鳥配置になっています。そして面白いのは内部線上りホーム(二番線)と急カーブを描く八王子線ホーム(三番線)は三角形の頂点を共通にその先へと延び一面~二面となっています。即ち駅構内配線は三線です。かつては八王子線も上下ホームが分かれており下り四番線ホームの遺構が残っています。当時の八王子線は右側通行で下り八王子方面が四番線で上り四日市方面が三番線ホームでした。日永駅前後は単線ながら駅構内では内部線と八王子線がそれぞれ上下分離ホームで交換も出来たんですよねえ・・凄いじゃないですか!

日永駅全景。一番線内部線下り・二番線内部線上りそして急カーブホームが八王子線ホーム。更にその右側にはかつての八王子線下り路盤の痕跡が。

内部線上りと八王子線共用三角ホーム。

内部線下り一番線ホームから見た四日市方。八王子線「0」キロポストが建っています。この路線の始まりは八王子線だったんですけどね。

内部線上り二番線ホーム。上屋の支柱は古レール組み(一番線ホームのレール組みに1903年の刻印があるようながら発見出来ませんでした)。

急カーブを描く八王子線三番線ホーム。その向かいにはかつての八王子線下り四番線ホーム跡が。

急カーブの三番線ホームを通過するため車両の先頭部は車幅が絞られています。

八王子線三番線ホームから見た西日野方。木製架線柱が複線幅で残ってますよ。
現在使用されている一番線ホームは改札口の構内踏切を越えて更に内部方へ延びておりかつてはホームとして使用されていたんですかねえ。そして二・三番線三角ホームの上り出発信号機の下にはかつて信号扱い所のあった基礎が残っています
更に一番線ホームにはトイレの他に謎の建屋が・・縦長のブロック積み物置のような・・保線用具小屋にしては間口がなさ過ぎますねえ・・物置かな・・。そして二番線ホームの内部方端っこにはちゃんと喫煙コーナーが!

内部線下り一番線ホームから内部方に続くホーム跡??

四日市方出発信号機群とその足元には信号扱い所の基礎跡が。かつての四番線ホームの階段も残っています。


二番線ホーム内部方にある喫煙コーナー(^^♪
上下ホームには坪庭が設けられているのが楽しいですね。一番線ホームには植栽をあしらったちっちゃな池?が。何かが泳いでるのかな?と思って覗き込んでみましたが何もいないみたいでした。二・三番線ホームには庭石も置かれた植木の坪庭がありその周りを巡回することが出来るんです。そしてこのホームと民家で囲まれた三角形の空き地も鉄道用地らしくホーム側に散り始めた桜の木が・・。




二・三番線ホーム上の坪庭。

二・三番線ホームで囲まれた三角地の桜。
構内内部方では内部線上下の合流・振り分けには上りを定位としたスプリングポイントが設置されています。一方四日市方は内部線上りと八王子線上下との合流部には下り西日野行きを定位としたスプリングポイントがそして内部線上りと八王子線上下の共用線と内部線下りの合流・分岐部は内部線下りと八王子線を振り分けるため本線仕様の転轍機が設置されています。軌間が762mmであるため転轍機が異様にでかく見えます。また特殊狭軌線であるためATS車上子を車体中心に設置出来ないため地上子はレール外に設置されています。ポイント部には車両接触限界標が埋められていますが実際ここで車両が停止することあるんでしょうかねえ・・。まあ標識を設けなければいけない規則があるんでしょうか。

日永駅内部方スプリングポイント。
四日市方ポイント群。手前が八王子線と内部線上り分岐・合流ポイントそして向こうが内部線・八王子線の振り分け・合流ポイントです。レール外のATS地上子と車両接触限界標もあります。以前は八王子線は更に手前で上下線に別れていました。

内部線と八王子線の振り分けポイントにはでかい転轍機が。
日永駅内部方ポイントから踏切を二つ越えた数十メートル先のレール間に「3両」を示す標識がありました。これは一般的には折り返し入れ替えを行うために設けられる停止標識ですが日永駅でも入れ替えが行われるんでしょうか?? この標識で停車しても列車編成は日永駅上り列車用場内信号機を越えないんですよねえ・・!!??。

内部線上り場内信号機の内部方にある入れ替え用停止標示?
かつては内部線・八王子線がそれぞれ上下ホームを擁していただけあって日永駅構内には結構広い空き地があります。側線群があったんでしょうか・・。現在は資材置き場として利用されているようです。その四日市方海側の空き地に新たな発見が! 一番線ホームの端っこに隣接して何やら怪しげなモノが!! 敷地外からよくよく観察するとなんとそこにはトロッコが!! 枕木を積み上げてトタン屋根を設けた車庫?にトロッコが収容されていました。保線用でしょうが使用されてるんでしょうかねえ・・ヨイショヨイショと線路上まで運ぶ様子は面白そうです(笑)。車庫?の横には昔よく見た黒塗りのでかい信号ボックスが!



いずれも敷地外から撮影した構内空き地。怪しげなトロッコ発見!! 車輪は鈍く光ってますねえ・・。
ジャンクションの役割として日永駅では内部線上り四日市行と八王子線下り西日野行がそして内部線下り内部行と八王子線上り四日市行が終日交換しています。一方内部線では終日上下の交換は泊駅で行われています。しかし日永駅構内は内部線上下が交換可能配線となっていますが日中内部線列車同士の交換を見たことがありませんでした。果たして・・・市販されている近鉄時刻表を眺めてもなかなかその実態を知ることは困難でダイヤグラムを作成してみたところありました!!・・内部線列車同士の日永駅交換が!! 四日市駅7時04分発の下り内部行741Mは7時08分に日永駅着・・その1分前に既に日永駅に到着している日永駅7時08分発八王子線上り四日市行750Mと交換しその3分後内部線上り四日市行740Mが到着と同時に内部行741Mが7時11分日永駅を発車します。即ちこの時間帯のみ日永駅で下り内部行が①八王子線上り四日市行と②内部線上り四日市行の2列車と交換しているんです。やはりあったんですよ・・日永駅での内部線上下列車の交換が!
ついでながら日永―四日市間は単線自動閉塞路線ですから八王子線上り四日市行が四日市駅に到着するまで後続の内部線上り四日市行は日永駅を発車出来ません。その結果内部線上り四日市行は八王子線四日市行が四日市駅到着(7時13分)の1分後に日永駅を7時14分に発車しています。そして内部線と八王子線の2列車が同時に四日市駅ホームに入線することになります。

私製ダイヤグラムで内部線上下列車の日永駅交換が一目瞭然です。

八王子線上り四日市行(750M)が先着(7:07)。その1分後内部行(741M)が到着(7:08)。
八王子線四日市行が発車(7:08)。内部行列車は内部線上り四日市行待ち。

内部線四日市行(740M)が到着(7:11)し上下列車が揃いました。

内部行が発車(7:11)していきます。日永駅での内部線上下交換の瞬間です!

内部線四日市行は先行する八王子線上り列車が四日市駅に到着(7:13)するのを待ち(3分停車)7時14分に発車します。
この列車交換劇を見るためなんと5時起きでした!! 連休中だったのでまさに通勤時間帯ながら乗客は少なく恥ずかしい思いをしなくて済みました(笑)。日永駅交換列車群は土日休日も運行されています。
通常は内部線四日市行と八王子線西日野行または内部行と八王子線四日市行の交換のみです。

内部線四日市行と八王子線西日野行の交換。
駅前広場はあってないようなスペースで内部方へ歩くとT字路交差点にぶち当たりそれを左(海側)へ曲がると直ぐに「東海道」と交差し右(山側)へ曲がると踏切です。その手前に踏切を示す道路標識が・・勿論?「SL」標識ですよ(笑)・・しかも新しいのが嬉しいですねえ。

駅前広場? 右へ行くとT字路に・・

T字路を左に向くと信号機が「東海道」との交差点。

T字路を右に向かうと内部線踏切が。今もSLが走ってるのかな??
こんな具合に昔は活気に満ちた軽便鉄道大ジャンクション駅だったんでしょうねえ・・。その頃を覗いてみたいなあ・・!! 当時の写真は勿論ありません>< 日永駅の駅長になりたい!(笑)。
そんなこんなで日永駅では構内や駅の周辺で半日遊べました(笑)。内部・八王子線の分岐・合流駅ですから四日市行は昼間帯で4本・朝方は6時台5本・7時台6本・8時台5本!!・・内部行は昼間帯2本・朝方3本・・西日野行は昼間帯2本・朝方3本という凄い過密??ダイヤです。三角ホームのベンチでのんびりしてると一気に時代が昭和に逆戻りしそうです。撮り鉄さん達は一生懸命車両や走行写真を撮っておられますがあすなろう鉄道の撮影時には是非日永駅を隅々まで観察していただきたいものですなあ!!
ーおしまいー



