「瑠璃色の地球」に関する記事をいくつか目にしたので、明菜の「瑠璃色の地球」のカバーについて書いてみたいと思います。
2002年に発売され約23万枚を売り上げたカバーアルバム『-ZEROalbum- 歌姫2』は、''明菜が百恵、聖子を歌う''という前宣伝が話題となり、「MUSIC FAIR」や『MUSICA FIESTA TOUR 2002』アンコールでもその2曲のカバーが披露されました。
その1曲が「瑠璃色の地球」です。
auの印象的なCMで流れていたので、ファンじゃなくても耳にした方も多いんじゃないでしょうか。
「瑠璃色の地球」は松田聖子さんのアルバム『SUPREME』の収録曲で、シングルカットはされていませんが聖子さんの代表曲の一つとなっている曲。
このアルバムはデビューから6年目にして最大の売り上げとなり、「日本レコード大賞」の「アルバム大賞」も受賞しました。
久し振りのテレビ出演となった聖子さんが「瑠璃色の地球」を歌ったのを思い出します。
この曲のカバーについて、明菜はインタビューでこう話しています。
<歌ってみてほしいと言われて、私は聖子さんの「瑠璃色の地球」大好きだったので絶対ムリムリと思ってずっとお断りしてたんですけど(笑)。お伽話のような可愛らしい世界に連れていってくださるじゃないですか聖子さんって。キラキラした中に聖子さんはある。明菜は、キラキラじゃなくて暗い宇宙に行って地球だったり月だったり何もないところから生命が生まれてくる、そういったイメージで歌ってほしいって作られた方がおっしゃって…だったらと歌わせいただいたんですけど…難しいですよね、あの歌は。聖子さんはフワーッと歌われますけど私はもう必死でした。コンサートでも何度か歌わせて頂きましたけど、生のステージでは二度と歌わないと思います(笑)>
前に書いたことがあるんですが、2003年頃だったか、一つの曲にフォーカスを当てる番組で「瑠璃色の地球」を扱った回があって、その中で明菜の「瑠璃色の地球」も取り上げて下さったんですけど、その番組を録画したビデオテープをDVD化しようとしたらテープの劣化で明菜の「瑠璃色の地球」への松本 隆さんのコメントが、
10万の人がわからなくても1人ぐらいは振り向いてくれる人がいる。その人に向かって歌っている…
ここで途切れてしまって聞くことが出来なくて、その先がずっと気になっていたんです。
その答えを思わせる話を、先日、歌姫シリーズのプロデューサーでもある、「瑠璃色の地球」の作曲者平井夏美こと川原伸司さんから聞くことが出来ました。
<これは作詞の松本さんとも言っていましたが、聖子さんが歌うと、「壮大な宇宙の中にあるかけがえのない地球を私の愛で守りたいという女神の歌」というコンセプトになります。一方で中森さんの場合は、「分け与える愛もほとんどなくなっているのにそれでも与え続ける」ような、現代に通じるようなドキュメントになった。あのリアル感が中森さんの魅力なんですが、それは彼女自身のキャラクターそのものでもあるんです。>
明菜を、乞われるままに全てを与えてしまうグリム童話『星の銀貨』の少女と重ねてしまうことがあります。
『星の銀貨』では、最後に神のご加護があり、空から銀貨が降って来て裕福になった少女は幸せに暮らしたとありますが、明菜はおそらくその銀貨さえもまた人に分け与えてしまうでしょう。
暗闇の中で月の光が優しく照らし出す星……
それが明菜の「瑠璃色の地球」です。
先週、中森明菜の育ての親とも言われ窮地に立たされた時には手を差し伸べてくれた寺林 晁さんが亡くなられました。
明菜が新たなスタートをしようとしている矢先のことで残念でなりません。
でも、何処かで明菜を見守っていて下さると思います。
謹んでお悔やみ申し上げます。