12月15日、ついにリリースが決定したAKMKレコード15周年記念アルバム。

その発表に先駆け同レコードのサロン・ルームにて完成披露試聴会も兼ねての例会「ウィーンの夜」が開催された。その模様をお届けする。

まずは「ウィーンの夜」会頭の挨拶から。


例会挨拶

皆さま、師走の際それぞれがお忙しい所でせうによくよくお集りいただきましてありがたふ御座います。

15周年記念アルバム。レコーディングも今年中になんとか間に合いまして、こうしてお報せできることを大変嬉しく思います。

15日の発表ですが、今日は会員の皆さまに特別に一足早くお聴きいただきたく存じます。

けふはこのAKMKレコード15周年を記念する例会にあたり、何を話そうかと考えあぐねておりましたが。そればかりではいけない。

そこでこの節目にあたって今一度、いわゆるレコードつまりは「録音」ということを共に確認してみたく思います。

音を記録するということ。催事などでもよろしいですが、物事が行われているときにわざわざ記録をとるという行為などは、一見して無粋で常識のない行動と兎角思われがちです。

写真に譬えますと、少し前までは撮られると魂までも抜かれるなどと大仰な事をいふ者ががいたほどですが撮影される対象、主に人間ですが被写体としましてはそのようにして残したくないと思う人も居ます。

同じことが録音にもあてはまるでせう。特に自分の声を録音されることに違和感を感じる人は意外と多い。だが、ある意味においてそれに屈せずに記録するということは、褒めるとまでは行かないまでも大変なことなのです。

昨今は我々、音を録る側の人間としましては技術の発達により、15年ほど前とは比較にならないほど細やかな情報を扱えるやうになってきました。

無論、我がレーヴェルのスタンスと致しましては「新技術に対しては疑念の眼を持て接すべし」との思いを日頃から固く保持するところであり、徒に技術革新を煽ったりそれに対して諸手を持て称賛するのごとき暴虐の徒では無論ございません。

しかしそのような事を前提としましても実際にスタジオにて現在の技術を用い、昔録音した音を再現するなれば、なるほどこのような仔細な情報が音楽に隠れていたのかと驚かされることも多いのです。

であるなれば、この技術革新を徒に乱用するのではなく、過去に録音されたことの空間情報を変化させずによくよく稠密の精神を用いて一心に再現を行うことが肝要なのです。

我々と致しましては特に微細な空間情報を扱っているということ、音に対して誠実なスタンスでこれからも行って参りたふ御座います。

さて、本年はAKMKレコードがその設立より早くも15年が経過したということで、それを慶賀するやうな様々な記念事業が行われて参りました。開かれて告知されたものが大半ですが、またそうでないものも御座いました。

そのうちの一つとして挙げられるのがAKMKレコードの過去十数年余にわたる録音データの確認、整理に並行して再度のアーカイヴィング作業です。

過去の膨大な録音データを一つ一つ掘り起こして音を確認しつつ、整理をして改めてアーカイヴするというその作業は大変骨の折れるものとなりました。

少し踏み込んだことを申しますと、保存方法としてAKMKレコードではハードディスクやUSBメモリにおけるデーター保存を、運用としまして当初から一切採用しておりません。

駆動系を持ち合わせているハードディスクによるデータ損傷、兎角にフラジャイルなUSBメモリに保存してのデータ喪失などを避けるためや、またリスクを分散させるために面倒ながらもごく一般的な光ディスク、主にDVD-Rを用いて保存致しております。

昔話にはなってしまいますが、2000年当初はMITSUI GOLDのCD-Rディスクに当時としては高価であったYAMAHAのCD-R機を用いてのアーカイヴィング作業、録音データを1倍速ないしは2倍速くらいの速度で大切に保存していた記憶が甦って参ります。

それらCD-Rディスクの確認もこの度行ったのですが、残念ながら既にディスク自体が認識されず読み込めなくなっているものもわずかながら御座いました。音というものもまた目に見えず、美しくはかないものです。

もはや15年前に立ち戻ることはできませんし、嘆いてばかりでも致し方なく今後はそのやうなことがなきやうに細心の注意を払って行って参りたい。そのように思います。

最後に来年からのAKMKレコードの予定をお話ししておきませう。実はしばらく活動が途絶え音信不通でさえもあった英字3つのあのユニットがAKMKレコードにてレコーディング中であります。先日、私(わたくし)も興味本位にて少し音を確認させてもらいました。

きゃつらは、これまた期待に違わず怪しい危険なことを行っているようでして(笑)この作品はいつの発表になるか未だわかりませんが、来年の進行状況が楽しみであります。




クソつまらなく長ったらしい挨拶もやふやく終了し15周年祝賀の空気に包まれる中、会頭が最近気に入って愛飲しているらしいピノ・グリ種の白ワインとチーズなども供され、15周年記念アルバムの試聴が続いて行われた。

今までになくポップな仕上がりに驚嘆の声が起こりつつも、会は知的で気品溢れる雰囲気を保ちながら、落ち着きのあるウィットに富んだ上品な会話が交わされ最後には一同にて藤山一郎の「青い山脈」を歌い盛会裏に終了した。