AKBの最大の特徴とも言える「多人数」
ギネス認定されるほどですから、話題性としても十分。

これもメリットがあるからこそのビジネス戦略でしょう。

多人数の最大のメリットはアイドルとしての人気を確保しやすい事。

アイドルを企画するなら、普通はソロかグループでも数人。
しかし、そのアイドルが優秀であっても、ファンの好みが多様化している現状ではファンの数は限定される。
ファンの多様化に対応するならば、アイドル側も多様化させれば良い。
最も簡単なのは、人数を増やす事。
1人で何10万人のファンを獲得出来なくても、1万人のファンを持つアイドルが10人いればそのグループは10万人のファンを持つ。
10人よりも20人、20人よりも50人。
1人の優秀なアイドルを育てるより、個性のある素人を沢山集めた方が良い。
だから、AKBのオーディションは歌やダンスの能力が低くても、何か可能性を持っていれば合格できる。多様化が目的だから、厳密なオーディションは不要。
オーディションのハードルが低いので、アイドルの登竜門と言えますね。

当然、多人数はデメリットも多いが、そのデメリットを減らすのもAKBビジネスの技です。

多人数グループの最大のビジネス的デメリット人件費

メンバーの人気の有り無しに関わらず、経費は必要。
普通は人気が出るかどうか判らないので多人数は避けます。
AKBの場合は2つの方法でリスク回避しています。

1.専用劇場による公演
専用劇場を持っているので、チーム毎の公演だけではなく、研究生も公演を行う事で、ほぼメンバー全員での営業収入が得られます。
しかも、人気の有るメンバーを含むチーム公演を行う事で、集客力を上げて、売上げ低下を防いでいます。現状は人気が高いので定員割れはあり得ませんね。

2.メンバーの事務所移籍
最初は自分たちの運営事務所の所属で活動しますが、人気の有るメンバーを一般の芸能事務所へ移籍させる事で、人件費負担を減らしています。
メンバーの移籍が進むほど人件費は減るので、当初のAKBはメンバー移籍のための芸能事務所への売り込み活動が活発でした。
さすがに最近はアイドル飽和状態で、各芸能事務所も移籍には厳しくなり、ほとんど移籍がすすんでいません。
そんな状態でも、劇場公演収入があるので大丈夫。
本当にAKBの基本は劇場公演ですね。

ビジネス的には、見事にリスクを回避しているAKBですが、
ここでも、間接的な弊害が発生しています。

多人数の弊害。
それはメンバーの技術や人間的な育成教育が出来ない事。

これは東洋経済の記事でも指摘していましたが、未成年のメンバーを使って仕事(芸能活動)をするなら、運営は歌やダンスなど活動に必要な技術だけでなく、メンバーの人間的な育成をする責任があると言う。
果たして今のAKBグループで、しっかりとした人間として成長する為の教育がなされているか疑問である。
人気が取れる活動優先で、歌やダンスも芸能活動に必要な最低限のレベルで済ませ、その後は個人任せになっているようにも思えてしまう。

少数メンバーでもしっかりと育成を行うのは時間も費用も掛かるのだから、
何10人もの多人数を育成するのは不可能に近い。
技術を身につけたいと考えているメンバーにとっては今のAKBグループ運営の育成体制は十分とは言えず、それが理由で辞めてゆくメンバーもいるのではないでしょうか。

メンバーの育成を考えず、多くの人を集めて利用できる人だけを使うと言うのでは、利益搾取の運営と言われても仕方がないかもしれません。
不十分な教育は、メンバーの技術レベルや品格を低下させ、最終的にはグループ全体の価値を下げる事になるでしょう。

すでに歌手としての技術が高いとは言えない状態であり、今後の人気や評価がどうなるのか不安を抱かずにはいられません。