もともと、私はおうちが大好きだった。15年前、結婚したての頃は、週末夫と家にばかりこもっていた。そんなに上手じゃないけど、お裁縫をしたり、石鹸を作ったり料理したり。夫と一緒に、家具屋さんを回ってそれは真剣に選んだ一人がけのソファで小説を読みふける。リビングにはそのソファが2つと、大好きな漫画や小説をずらっと並べた本棚があった。そんな生活がたのしくて、子供はつくらないつもりだった。子供はかわいいけど、育てるのはとても大変そうだし、今の穏やかな生活が壊されてしまう気がして。

 

1年に1回、おたがいの休暇をあわせて東南アジアに夫と旅行に行き、美味しいものを食べてきれいな景色を見て楽しんだ。冬は日本の実家に帰って、日本のお正月を満喫した。そんな暮らしが5,6年ほど続いて、私はだんだん退屈になってきた。なんか、もっと、深みのある経験がしたい。でも、それが何だかわからない・・・

 

ふと、今までとは全くちがう場所で、違った経験をしたくなったのだ。子供のころから異国文化に人一倍関心があった私は、大学で韓国語を専攻したのをきっかけに韓国にはまった。大学卒業後、韓国に渡り10年も経っていた。本当はそろそろ別の国に行きたかった。韓国がもう異文化ではなくなってしまったのだ。つまらない、つまらなすぎる!!毎日世界一周ブログとかを読み漁っていた。大企業に就職したばかりの夫に会社をやめて世界一周をしようと言ってみたり、別の国で暮らしてみようと他国のビザについて調べては報告して、夫を困らせた。

 

今の会社に必死で慣れようと頑張っている夫を横目に、別の国で暮らすのはむずかしそうだと思い、諦めた。離婚までして一人で他国へ渡るという選択肢はなかった。夫が大好きだったからだ。

 

じゃあ、一人で旅に出てみようかな?と思いつき、ネパールへ行くことにした。なぜネパールかというと、なんとなく生涯ネパールに行くことなんてないような気がしたし、どこでどんな話を聞いたのかまったく記憶にないけれど、漠然と「ネパール」と浮かんだ。ただ、ホテル滞在の街並みを見て、食を楽しんで、という表面的ないつもの旅行は嫌だった。現地の人ともっと深く関わって、暮らすように旅してみたい。短い期間でもいいから、可能な限り。