夜更けにふと思い出して外へ出ました。
今夜は満月。
満月に纏わる話は諸説あるようですが、そんなことはさておき、不思議な力に肖りたい気持ちでした。
導かれるように廊下を歩き、唯一開いている扉に手を掛けました。
外へ出て強い光を感じて見上げると、そこには明るく光る月がありました。
そのままどんどん近づきたくて、もっと空が広く感じられる場所へ。
嘘か真か、信じるものは救われるの気持ちで
「お月さま、お月さま、どうか私と大切な人に幸運が訪れますように」
昔、むかし、子供の頃に読んだおつきさまの絵本で繰り返し読んだことばを思い出した感覚。
しばらく月の光を身体中に浴びたあと、部屋へ戻ろうとしたその瞬間でした。
街中にありながら、自然に恵まれた環境の我が職場。
物陰を感じ、猫ちゃんと遭遇したのかと思ったら、いいえ、違いました。
なんとそこには狸さんが。
以前から守り神だとも言われている狸さんが敷地内に居るとは聞いていましたが、もう数年、誰も見ていなく、かつてその亡骸を埋葬したこともあって、いなくなってしまったと言われていたのです。
大きさは全長1M弱はあろうかと思われる、ふさふさした大きなしっぽを蓄えた、立派な狸さんでした。
思わずシャッターを何枚か切りましたが、狸さんは私の前を少し余裕を見せながら、軽くジャンプしながら、闇に消えていきました。
感動的な瞬間でした。
時々感傷的になってしまうこともありますが、この出来事はまだ何か、ラッキーなことが私にも巡ってきそうな、そんな気持ちにさせるものでした。
狸さんも誰もいないと思っていたでしょうに、暗闇から白衣の人が現れて、驚かせてしまったかもしれませんね。
Blue moon、ありがとう。