よそのブログを読んでいて、


好きなことを仕事にする。

服も靴もなかなか買えない生活でもやりますか?
っていうか、やれますか?
というくだりがありました。


これはどこかで見た音楽家に対しての感想ですが、
私はふと以前ドキュメントで見た

辻オルガンの演奏家の事を思いだしました。


NHKのドキュメントでやっていたのですが、
その男性は、優しい性格ゆえに社会に順応できず

心に傷を抱えたまま
社会から脱落してしまいました。


音楽の先生だった彼は生きるため、

オルガンの演奏で生計を立てます。


悲惨な生活に、生活保護を受けたら?とまわりは勧めますが

オルガンを手放すのが嫌だからとその申し出を断り
ぎりぎりの生活をし続けています。


彼にとってオルガンは心のよりどころですし
「自分と一緒に泣いてくれていると思った」

と言うその音色は
心の支えそのものなんですね。


生きるために、手放せない事もある。
音楽とか芸術とか、

なんでも金に換算する人には解らない世界も
有るんだと思う。


彼のオルガン演奏は、陽気なものでは有りませんが
しみじみと心に投げかける音が有ります。


丁度東日本大震災の後、
彼の町も被災し、心に傷を負った人が、
あれ弾いて・・・と100円をポンとおいて
「ふるさと」を聞いてそれで帰って行きます。


彼の音だから、しみじみと被災したその人の心を一時
癒せるんだと思いました。


お金だけでない世界が有る事を、

人として少し誇らしくも感じます。

本人はただただ生きるのに必死なだけで、
泣かないためにこうしてオルガンを弾くんです。


人は何か支えが無いと生きていけない寂しい生き物です。
音楽はその人にとって命の支えだから、やるんですね。