闇夜の国から 二人で舟を出すんだ
海図も磁石も コンパスもない旅へと
舟はどこへゆく
うしろで舵をとるお前は あくびの顔で
夜の深さと 夜明けの近さを 知らせる
歌おうよ 声あわせ 舟こぐ音にもあわせ
闇夜の国から二人 二人で船を出してゆく

舟出の理由を確かめあうこともなく
未来と将来の区別もつかないまま
退屈な時は
言葉の軽さを 二人で笑いつづけて
俺の腕まくら お前は眠れそうかい?
流れ星 願い事 消えないうちに早く
闇夜の国から二人 二人で舟を出してゆく

波まかせ 風まかせ 星屑の空に揺られ
一人の国から今夜
闇夜の国から二人
二人で舟を出してゆく


とても若々しく希望に満ちた歌です。
あの当時多感な少年や青年が
そして少女と年頃の娘たちも恋に恋焦がれ
恋に恋してこの歌を聞いてロマンチックな夢を見ていた
事だと思います。

恋と言うのはロマンチックではあるけど、
現実と言うのはそんなにロマンチックなものではありません。

男は心の中の女神を見つけるように必死になるけど
生身の女はそんな女神などではありません。

女と言うものは偽善であり、嫉妬深く、利己主義であり
それは男も変わりは無いのです。

この二人の恋の魔法が解けて、
それでも現実を認める優しさが有れば
きっと形を変えて深い愛の力で船をこぎ続けて行くのでしょうね。

高揚感ではなく、その時は穏やかに静に慎重に
船はゆっくりと進んでいきます。