夜に砂丘に行った日



トモの家では大変なことが起こっていた




当時はまだ携帯を持ってる人はほぼいなくて
ポケベルが流行ってた時代




この日トモのポケベルに


お母さんからありえないくらいの着信があったらしい



というのも、
トモはこの日ポケベルを店に忘れて置いてきてて

電話を掛け返すことができなかったためなんだけど



  


大変なことというのが



トモのお母さんがやってる賭博の店に

警察の手入れがあったのだ




その場にいたお客さんも従業員も全員逮捕され

その中には私が働く店のマスター、アキの父親もいた



保釈されるには保釈金を用意しなくてはいけない

その額1人200万






トモ曰く

保釈金は後で返ってくる

…らしい



この話を大笑いしながら私に話すトモ




お金用意できるの?


まーおかんの事やからなんとかするんちゃう


あっけらかんと言った





トモのお母さんとは

一度だけ顔を合わせたことがある




トモの家におじゃまして帰る時


ガラッと部屋の扉があいた

トモー!あんた明日お弁当いるん!?

なんで今弁当やねん!いるわ!



そう答えて私を送りに外に出た




おじゃましました


という私にお母さんはニコッと笑った



おかんな、あれ絶対あっちゃんの顔見るのにどーでもいい事わざわざ聞いたんやで笑



あのお母さんが…



それからしばらくしてマスターが店に出勤するようになり

保釈されたことを知った