心日和だより【気ままに映画レビュー】

心日和だより【気ままに映画レビュー】

映画レビューを中心にお届けいたします。

劇場公開よりもAmazonなど配信中の作品レビューがやや多めです。
予告編は基本的に見ません!

時々ゲームセンターCXのレビュー。

ポケモンGOというゲームにおいて、最もアツいイベントは昔からこの「GO FEST」だ。地域限定ポケモンからアホみたいに上がる色違い確率!近年は特別コスチュームポケモンに新メガシンカも登場しワクワクが止まらない!という もの。

でも、「そこまで行くのが大変なんだよなぁ」と思っていたトレーナーは多いはず。しかぁーし!今回は我が故郷・大阪!おおさか!OSAKA!大阪なんやでー!!しかも馴染み深い、吹田!?(すいた、と読みますよ)万博記念公園でやるのん?太陽の塔が会場なん!?と聞いてチケットを買わない選択肢はありませんでした。

と、いうわけで3日がっつり参加したフェスの感想と良い点、悪い点など備忘録込みで記したいと思います。長文乱文になりますが今後のポケ活のご参考になれば幸いです。


ちなみにこちらの記事はポケモンGOゲームの内容について。運営や設備の話はこちらから


  複数日プレイで心の余裕が!得られるこうかはばつぐん!

グローバルやジョウトツアーなど大きなイベントの時にいつも言われること。それは「タスクなどこなすことが多くて野生ポケモンを追えない!」という話。色々な仕掛けは楽しいのだけど、GOの醍醐味である野生ポケモンを追いかけるというのが毎回半日とか数時間しかできないってことも多かった。そらが今回、アドオンで追加した別日都市プレイで合計3日できたことでほぼ解決された。結果として満足度をかなり引き上げている。これがなければ先に述べた「時間がなーい!」状態になり、そこから「あの時の通信障害が」「移動で時間取られたし」「1日では消化できないよ」と言った大小の不満が生まれてきたと思う。

私は会場内で狙っていた色違いの半数くらいを積み残しそれも午後では追いきれなかったたのだが2日目、3日目であらかた回収できたのでこういう事が言える。反対に言うと1日だけでは消化不良感は大いにあっただろうしアドオンを追加しなかったことを悔やんだに違いない。

近年のグローバルフェスも2日目は野生に集中という人も多いと思うが、現地フェスはそのパワーアップ版と言った所だろうか。次回も参加するならアドオンを付けたいなと思ったが、仮に複数日ありきフェスになったと考えると予算的な所など複雑な気持ちにもなる。ここは考えものかもしれない。


  過酷な環境の会場内が実は一番色違いが追いにくい?

さて。まずは、メイン会場の話から。設備編でも話したがかなり過酷な環境ですることになる屋外プレイ。正直この条件だけでポケモンを追うのはかなり厳しいと感じた。


はじめに会場内でもらえるタスクなどがかなりあるのだが、それらを追いかけるだけで精一杯だった。タスクそのものは万が一未クリアでも後日変更されてディアンシーは手に入るとのことだがやはり当日ゲットしたいもの。聞いたことがないタスクが現れるのでそれらに結構戸惑ってしまった。コレクションチャレンジこそ自然に終わるが意識しないとリサーチは終わらない。思い切って後日もらえるから、と最初からタスクをしないという選択肢もアリかも。それくらい思い切らないと時間が作れない。


加えて通信環境がやはり重かった。暑さから来るスマホの不調も加わり移動したとてポケモンが沸かないこともしばしば。レアポケモンは該当エリア内でもそこまで爆湧きではないのでそれなり粘る必要があるのだが、現実的ではない気もした。そのくらい過酷な環境だった。

また、自分が公園内のどこにいるのかをなかなか把握しきれなかった。今回、氷、妖精、森エリアが隣同士だったのだが、境界線が良くわからなくていつの間にか違うエリアに入ってしまうことも多かった。エリアの境界線はリアルな場所でももっとわかりやすくしてほしいなと感じた。

また、下見などできずぶっつけ本番で行く人が多いというのを考えるとだだっ広い公園の中でプレイできるエリアはもう少し絞って狭くしてもいいのかなと感じた。


  だからこそ「限定」は会場で優先して追うべきポケモン。都市では厳しい。

これらを踏まえ、「じゃあ結局、何を追えばいいの?」と言えばやはり限定のポケモンだ。どストレートな答え!

アンノーンは特殊なので置いておくとして、地域や天候など限定されている子たちをエリアで粘るのが今後のフェスでも会場内の基本的な動きになると思う。と、いうのも都市プレイだと他のポケモンに持って行かれてかなり狙いにくくなる。予想はしていたが会場の中と外で出現数が結構差が出た印象だ。


具体的にまずは限定コスの「かばんプテラ」と「ピカチュウ」。プテラは他と比べると会場内外どちらも出現数ら変わらなかったのだが、色違い確率は会場内の方が高かった気がする。1日目会場内で30遭遇で2体色違いが出たが、2日目40近く会場外で遭遇しても色は出なかった。誤差の範囲内かもしれないが頭には入れておいていいかなと思う。

それ以上に難易度が高かったのがピカチュウだった。イベントピカチュウは比較的出る事が多いのだが、今回は都市プレイでは皆無。会場内でも「そこそこ」だったが結果的にそこが一番狙える場所だったことになる。数がかなり少なかったようなのでここは運と割り切るしかないのかも。ピカに関してはイベント毎に数にばらつきがあるので予想しにくいのが難点だ。


相当ツイてた!?色ピカ様


それ以外にあった「地域限定」の「アイアント」「ヘラクロス」それから「出現」の天候が雪限定の「ゆきぐもポワルン」と野生ででないイベント限定の「ガラルバリヤード」。これらは会場内でもそこまで多くない湧き。都市プレイになると多くのポケモンに飲まれてしまうので遭遇率は一気に下がる。時給それぞれが5-10くらいになる。会場内で上手く立ち回れば時給30-50はいけると思うのでこの差は大きい。先述の過酷環境を加味しても20近くはかたいので狙うべきポケモンを絞ってその該当エリアをひたすらまわるのが良いと思った。複数のエリアを行き来するのはあまり効率が良くない気がしたので、優先順位を決めて1つずつクリアしてくのがセオリーかなと思う。


都市では均等に出ているはずなのに、バラつきがある?新規は都市で狙える 

目玉のもう一つがフェスで実装される新規色違い。大阪ではシズクモ、チュリネ、バケッチャ(すっぴん)がそれにあたる。都市プレイでは他のポケモンに比べるとこの子達がやや優先的に出てきたし何なら会場内より狙いやすかった印象。

他の狙い目が色違い実装間もないサボネアやシュシュプなどのポケモンたち。これらも相当数出てきたので会場外でも追える。だが、全てがほぼ均等に出てきているのである個体だけを「追う」のはなかなか厳しい。例えばアメタマだけに絞れば場所にもよるが時給は30弱くらい。天候ブーストも関わるが、会場内や巣ほどの数は出ない。そこは気をつけたい。


逆にカビゴンやマンタインは会場外の方がよく見たし、バケッチャはなぜだか会場外の方がやたらと見た印象。ここは謎が残る。


ちなみに「アンノーンタイム」と言われる毎時00分〜02分のアンノーンが出る時間は今回もあったが恐らく昨年よりも数は減った感じがする。札幌の動画を見る限りもっと出ていたようなので変化があったのかも?また、都市プレイでもアドオンでもアンノーンタイムがあったのは喜ばしいこと。(だが、それを忘れて59分になる前にポケモンを取り尽くした事も多々)


  フェスなど大きなイベントでは手投げで行きなさいとあれほど言ったのに!

これは今更感のある話だが、GOフェスクラスのイベントでは自動捕獲は切っておくべきだったと思った。とにかくたくさん取る!と手投げと併用していたが、コミュニティデイと違い、決して捕獲率の上がってないフェスの場合はGOプラで逃げられた個体がかなりあった。確認できただけでもデデンネやシズクモに逃げられていたのは悔やまれる。合計で10-20は逃したと思う。

また、先の通信の環境によっては画面内にポケモンが表示される前にモンボなどが反応してしまうことも多かった。中にはモンボマークが出てない個体をタップして色違いがでたが「見えない」ところで捕獲を試みていたようできのみも投げられずに逃げられた事もあった。あのサボネア特に悔しかった。

改めてだが、「乱獲しない」イベント、欲しい子を狙っていくのだからプレイ中はオフにして、GOができない時間帯のみ自動捕獲をオンにしておくのが得策だと思った。これは今後に活かしたい経験。


  大阪の背景は確定にして!

ここまで野生のことばかりだったがその他の要素も触れておこう。

たまごは今回7kmが一応目玉になったがホウエンツアーの地獄の?10kmたまご割りと比べるとおまけ程度で良かったかなと思う。だが、孵化装置の付かない「たまご名人」のアドオンをつけるほどのものでもないかな?と思った。10kmの出現アップはどういう意図があったのだろうか?


そして、もう一つの目玉メガレックウザ。20人はあっという間に集まるのでぶっちゃけ対策無しで入っても即倒せたので非常に効率良くまわれた。捕獲率が高くなくボールも少ないので 相当数逃げられたのだがもう少しボールの数か捕獲率を上げてほしいと感じた。


それよりも多くの人が不満だったのが「ロケーションカード」。大阪城が背景に付くはずなのだがそれが確定ではなかったのは大変残念だった。そこは運ゲーにする必要はないと思う。誰得ですか?


限定なら確定でこの背景は欲しいよね。


  限定コスは翌年に来るのかも?*ピカ様は除く

ここ数年、限定のコスチュームポケモンが現地フェスに象徴になっているが実は今年のグローバル(8/27.28)に去年の限定コスの「カウボーイカビゴン」が復刻するのをご存知だろうか?これは昨年、現地に行けなかったトレーナーへの救済としてはとても良い。おそらく今年のプテラも来年のグローバルでは復刻すると思われる。どうしても限定コスが欲しい!と現地に行く必要はないだろう。と言いつつ私の推しのラプラスが来たら心は動いちゃうのだろうけどね。


  あれ?交換は?写真は?どこに重きに置くのかはきみ次第。

ここまで全く触れなかった特別交換。町中に展開されている「ポケジェニック」や会場オブジェクトの写真。私は今回、これらはほぼやっておらず交換はしていない。人によっては「もったいない!」と感じるかもしれないが、私は自力で捕獲!を第一優先で考えているので交換は「時間が合えば〜」くらいのスタンス。交換や交流がフェスの真骨頂だ!と感じる人はそれで動くのもいい。詰め込まれてる中で自分に合ったものを選んで動く、それがフェスの楽しみ方なのかなと思います。


初の現地フェスでしたがこんなにポンポン色違いが出てくる体験はなかなかできない貴重なもの。改善して欲しいところはあるけれど(聞いている限り)年々良くなってきているのも確か。今後もこのような素敵なフェスを多くの人に体感して欲しいなと切に願います。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

よろしければ設備編もご覧くださいませ!


ポケモンGOというゲームにおいて、最もアツいイベントは昔からこの「GO FEST」だ。大きな会場をほぼ貸切にし、様々なオブジェクトにノベルティ、大小の特別が詰まった歩いているだけでワクワクが止まらない!という もの。

でも、「そこまで行くのが大変なんだよなぁ」と思っていたトレーナーは多いはず。しかぁーし!今回は我が故郷・大阪!おおさか!OSAKA!大阪なんやでー!!しかも馴染み深い、吹田!?(すいた、と読みますよ)万博記念公園でやるのん?と聞いてチケットを買わない選択肢はありませんでした。

と、いうわけで3日がっつり参加したフェスの感想と良い点、悪い点など備忘録込みで記したいと思います。長文乱文になりますが今後のポケ活のご参考になれば幸いです。


ちなみにこちらの記事は設備や運営面の話。ポケモンGOゲームの話はこちらから



 設備・暑さ対策は万全な印象。しかし、トレーナーへの案内不足感が否めない。

今回の会場は万博記念公園。その名の通りかつて、万博があった跡地の公園なのでとにかく広い。トイレや自動販売機は満遍なく設置されていて混雑するということもあまりなかったかと思う。予め、自前の飲み物を準備していた人も多いので自販機の売り切れもどうやらなかった様子。更に、スポンサーである伊藤園が小さめの水やお茶、冷タオルなどを配っていたり簡易のドリンク売り場も作っていた。ソフトバンクもモバイルバッテリー販売を行なっていたようで万全の体制が取られていた。



モノレール駅もGO FEST仕様!


その他にもケータイキャリアと思われる通信に関する案内や自転車で会場を巡回しているスタッフさんが常に目が入るなど大規模イベントのプロの方としっかり連携を取ってやっているのが実感できた。また、ドコモ、au、ソフトバンクの中継機も各キャリア数台見てインフラ整備もされていた。それは安心感にもつながるものだ。

それでも途中、救急車が数回来たということだが、ぶっちゃけ夏の屋外イベントではGOに限らず起こり得ることなので致し方がないとも言えるかなと思う。(そもそも今回のものも含め夏の屋外の実施の是非は後述)


会場のシンボル、太陽の塔


案内以外だと、ナイアンテックブースでWayfararの記念品、コミュニティエリアで大阪限定のナイアンテックステッカー、市内のリアルポケストップでポストカードと限定ノベルティが多数あった模様。しかし、これらの情報は全てTwitter(現X)から得られたものばかり。8/4初日の朝に参加した私はほとんどのノベルティの存在を知らないまま会場を後にしてしまった。会場にはマップはあったもののそういったノベルティ情報は皆無。先述の各社のブースの情報もない。現地に行って確認するには会場の規模が大きすぎる。せめて、会場ではどこでどんな会社が何をしているのかという情報発信、例えばそれらを記載した紙の地図でも配って欲しいなと思った。


会場内の地図。場所は分かれどノベルティの配布もお茶の販売もこの地図ではわからないわけで💦


 通信状況は「想定の範囲内」だが…。

一部界隈から懸念があった通信環境。位置情報ゲームという特性上、文字通り生命線になる。実際はどうだったのか。

スタート直後は良かったものの会場内に人が増えるにつれて動作が重くなったり固まることが目立ってきた。更にそこから一度アプリを落とすとログインができなかった事もあり公園内プレイが4時間という制限下の中では痛いタイムロス。計1時間近くはログインで時間を取られたかと思う。


ちなみに私はドコモ回線を使っている。ナイアンテック公式からアナウンスが出たが


これに関しては今春からドコモ本体が抱えている問題なのでナイアンテック側だけの問題でもないと思う。


しかし、他キャリア会場内の動作は重かった様子。とはいえ、これくらいの重さ、障害は「想定の範囲内」と思っているトレーナーも多いかと思う。よくある事だなあくらいに構えているあたり、立派にナイアンに調教された、とも言えるかもしれないが「プレイ不可能」レベルまでは行かなかったと思う。

その中で特に重いな感じたのは入口や地図近くなどの人が集まっているところ、毎時00分に来る「アンノーンタイム」、エリアの切り替わりの位置、そして何より「日陰」。ここらは終始重かったなと感じた。

公式アナウンス通り、密集地から離れれば確かに動きは軽くなったが、、ポケモンのソースがやや少なくなること、太陽光直撃で3分とその場にいられないこと、そして今度は暑さで端末の動作が重くなることがあり根本的な解決策とは言えないと思う。いや、むしろ端末負荷を考えると悪化してしまったと思う。


 夏に屋外フェスをする意義はあるのか。


さて、ここに来てそもそもの話。灼熱の夏に屋外でGOフェスをする意義とは何だろうか。奇しくも時期も場所も同じ高校野球など夏の炎天下でのスポーツ大会に疑問が持たれ始めているが、GOフェスも同じだ。



どーん!としたゲージは大きな魅力


まずプラス面で言えば夏休みという時期を考えると人が集まりやすく、予定も立てやすいなどメリットも多い。私自身もこの時期なので休みが取りやすかったが他の時期なら参加そのものが難しかったかもしれない。

では、マイナス面はというと人々の想像を超えたこの暑さだろう。GOフェスは公園など広い場所を選ぶ場合がほとんどなので日陰は期待できない。暑さ対策をしていく人が大半だがそれでも4-5時間近くノンストップで動くにはキツすぎる。

更に、ポケGOの場合はスマホの暑さ対策も必要になってくる。炎天下の中、冷却しながらプレイするのはあまり現実的なプレイ環境とは言えなかった。


こんな中で新たにコミュニティを作ろうとか交流しようとは正直思えなかった。写真を撮ったり散策したいがそれらの余裕もない。そもそも、4時間で終えるにはタスク内容がキツすぎる。それを追うだけで所定時間が終わってしまったといっても過言ではない。


これら大規模イベントの場合、少なくとも1年前、もしかすると数年前から会場を抑え、企画が動いている事も少なくないと思うが、改めてナイアンテックに夏開催の是非を問いたい。春もしくは秋ではダメだろうか。

暑くてすべてのオブジェクトを探そうという気にもなりにくかった。1つ1つは素敵なのに💧


 総合的には非常に良いイベント。そして、今後の自分のポケ活を考える。


暑さがかなり負の感情を掻き立てるのだが、そこを除くと大きなトラブルもなく大阪という大都市で行われたフェスとしては大成功だったと言えるだろう。【ポケモン編】で詳しく書くが都市プレイと併用できたのは大変に良い施策。しかも、アドオンをつければ数日遊べたのは満足感を大きく向上させたのはいうまでもない。案内不足に関しては、ナイアンテックの永遠の?課題なので今回に限らないが、せっかく色々と仕掛けているのにそれらを案内しきれないばかりに体験できなかったのは我々プレーヤーだけでなくイベントスタッフ側にとっても悲しい話になるだろう。大阪というアクセスのしやすいところだったのもあり、札幌市と違い日帰りにした人も少なくない。これらの「情報提供」の方法は早く改善してもらいたいと切に願う。


都市プレイで言えば私は梅田の地下街と難波周辺を中心に回っていたのだが、この時期ほぼ屋根の下でプレイするのがこんなにも快適だったとは!と再認識させられた。と、同時に大型イベントは基本上野公園でプレイする事そのものを考え直すきっかけにもなった。場所をよく把握している上野公園に変わるポイントが探せるのかはわからないが、梅田や難波のように歩き回れるそこそこ大きい地下街を発掘せねばならないと思っている。(銀座がいいと聞くがどうなんでしょう?)


今年の形をベースに来年も行われると思うが、ぜひ良かったところは残しつつ素晴らしい体験を多くの都市で実施して欲しいと思ったイベントだった。


よろしければゲーム内容に触れた【ポケモン編】もご覧ください。最後までお読みいただきありがとうございました!

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ動画・ADK 2021

 

のび太の宇宙小戦争2021

85点/100点

監督 山口晋

2021年

レビューネタバレ度★★★☆☆

 

わさドラ版、という言い方もすっかりなくなってきた春休み恒例のドラえもん映画。恒例とは言うもののコロナ禍の影響をモロに受け、「2021」というタイトルでありながら公開が丸1年伸びてしまった本作。2年前の新恐竜も夏公開になったため実に3年ぶりに「春のドラえもん」が帰ってきた。今回は入場特典の「ロコロココミック」の欲しさもあり初の「わさドラ」映画を劇場で鑑賞した。

 

地球から遠く離れた惑星ピリカ。その大統領府はクーデーターによる襲撃を受けていた。若き大統領パピ(CV朴璐美)は国民を思い前線で戦おうとするが、国家の危機を案じた姉ピイナ(CV松岡茉優)は、皆の希望を込めて彼を一人脱出用ロケットで遠い宇宙の彼方へと飛ばす。パピの行き着いた星で彼のロケットを「拾った」のは彼よりも何十倍も大きい少年、のび太であった。

 

 

 

 

 

公式スペシャルPVも旧作の映像を多く使用している

 

オリジナルからの小さくも大きな変化

 

「わさドラ」版の映画ではこれまで何度も過去作のリメイクが行われてきているが、「新」と付かないオリジナルに準じた作品になるのは実は新シリーズ第1作の「のび太の恐竜2006」以来15年(実際は16年)ぶりのことになる。「恐竜」と同様に話の大筋はオリジナル通りに進む構成になっていた。(従ってオリジナルのストーリーのネタバレは以下ある程度含むためご注意を)

 

(昨年11月に行われたリバイバル上映のポスター)

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ動画・ADK 1985-2021

 

スピード感と迫力のバトル

 

全編を通して本作はテンポよく進む印象だ。特に前半の地球パートは休みなく話が展開していく。オリジナルを知っているからかもしれないが、「未見の人は話の展開、わかるのかな?」と勝手な心配をしてしまうほど無駄が省かれている構成だ。まさに引き算の美学とも言えるもので非常に良かったと思う。のび太の部屋からどんどん大きくなってゆく話の展開とこのスピード感はマッチしていて気持ちが良かった。ちなみに、「コンプラ」だのなんだの厳しい現代においてオリジナルを尊重した「戦車」と「牛乳風呂」が出てきたことはオールドファンとしては喜ばしいことだ。スタッフも苦労したことと思う。

 

また、シリーズでも屈指のバトルシーンは現代の技術や見せ方をふんだんに使い、迫力満点のシーンが連続する。当時も「これってドラえもん?」と言われたそうだが、本作も「ドラえもんとは思えない」シーンの数々は必見だ。

 

微妙な差はあれど概ねオリジナルをなぞっているが、地球パートの最後の方から少し違った展開を見せ始める。

具体的な内容は避けるが、後半はオリジナルと同じ展開の中にちょくちょく違う展開が入ったり、キャラクターを深掘るようなシーンが入ったりするなどいい脚色が見られる。1人の行動が少し変わるだけで全然違う展開になってゆくのはオリジナルを知ってこその面白みと言えよう。順番はどちらでもいいので新旧双方を鑑賞することを強く勧めたい。

個人的には終盤、スモールライトの効き目が切れた後の「上陸」シーンがあっさりしていた点がやや残念だったが、本作のハイライトは「上陸」シーンではなく少し違うところになるのでそういった意図もあったのだろうと思う。転じて、オリジナルの「上陸」シーンの魅せ方がいかに秀逸だったかということを思い出させてくれた。

 

映画のレビューで他作品を持ってくるのは申し訳ないのだが、感覚としては「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版・破」を見ている感覚に非常に似た感覚になった。「ヱヴァ・破」をご存じの方しかわからないがまさにあのときと同じようなワクワク感を感じたのだ。

 

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ動画・ADK 1985-2021

 

 

 

 

パピの心の内側とは

 

本作とオリジナルで最も違う点はゲストキャラクターの「パピ」を掘り下げた点である。

オリジナルでは彼のバックボーンや心情などは本人の口から語られておらず、表情もあまり変わらない冷静沈着な姿が印象的なキャラクターだった。それでも勇敢に悪に立ち向かい国民を信じ続ける「クールで毅然としたリーダー」として描かれており、言葉は少なくともなぜ大統領でいられるのかは十分伝わってくるものであった。

 

本作では基本的な性格は変わらないが、要所要所でパピの「心の内」を吐露する場面が挿入される構成になっており、原作とは違う「熱いリーダー」としての印象を持つことと思う。しかし、キャラクターが全く変わったわけではなくそこにはしっかりとオリジナルの「パピ」も残っており、新しい彼を発見できるであろう。姉である「ビイナ」の存在や立ち位置は絶妙なスパイスとして効いているのも好印象だ。

反面、ロコロコのギャグ要素は若干薄まっとぉり「おしゃべり」というところが少々わかりにくく、強引な部分もあったが、許容範囲と言えるだろう。

 

普遍的だからこその社会情勢とのリンク

 

様々なレビューサイト等で本作が「現在の社会情勢を(奇しくも)反映している」「今でこそ伝えるべきメッセージ」などと言われているが、イチドラえもんファンからすると少々首を傾げたくなる。「クーデター」「若き大統領」「反乱軍」に「自分の人気がないのを自覚している指導者」と嫌でも「彼の国」を想像してしまうが、それは偶然の産物である。今と照らし合わせるのは自由だが、社会的メッセージをドラえもんに背負わせるのは違うし代弁させるものでもない。本作はあくまでも「友情」「決意」の話である。オリジナルの元ネタの1つは「スターウォーズ」だったり現実の出来事を反映させているものではない(そもそもドラえもん映画には現実の事件などをもとにしたものはない)。

ジャイアン役の木村昴さんがインタビューでも言っておられるが(下記リンク参照)本作は「誰かのために自分ができることを頑張れるか」という普遍的なテーマが根底にある作品だ(このテーマは大長編ドラえもん全般に言えるが)。遠い星の「パピ」の為に5人が力を合わせるからこそ勇気や感動をもらえるのだ。物語の設定などを安易に今の社会情勢に置き換えて「メッセージ」とするのはナンセンスであると思う。真にドラえもんから勇気をもらったのであれば「自分にできること」を探してやること、が大切ではないかと思う。

 

 

秀逸なリメイクを是非大スクリーンで

 

かつては映画ドラえもんの「オーバーアクト」が気になったと指摘したが、本作は良質な「ジャパニメーション」が楽しめる1作と言って差し支えないだろう。原作が藤子不二雄先生「絶頂期」とも言える時期のものなのは言うまでもないが、その名作を上手に2021年版にリメイクしたスタッフには脱帽である。昔と同じく「しずかちゃんが戦車を乗り回す」姿はぜひ、大スクリーンで見ていただきたい。

 

*最後までご覧いただきありがとうございます。ぜひ、他のレビューもお読みいただくと嬉しいです!

 

ストーリー   8

音楽             6

美術             9

演技             9

監督             8

 

エンタメ指数 ★★★★★★★★★☆

 

合計85点

 

原作コミック

 

 

サブスクでも視聴可