スイッチングコスト | ケーススタディーとしての日経新聞

スイッチングコスト

 大手銀行が取引状況に応じて様々な特典を与えるポイント制を導入する動きが広がってきていることが掲載されていた【3面】
 
 取引条件に応じた様々な特典を設定するポイント制の狙いは、記載ある通り、顧客の囲い込みを行う事だろう。
 このような特典を付ける事で、顧客はライバルへ替る事に心理的な不利を感じるだろう。(このような、ライバル商品に替る為の有形無形の費用を”スイッチングコスト”という)

 ではなぜ、コストを払って(利益を減らして)迄顧客の囲い込みを行う必要があるのだろうか?

 私は、ある意味での競争回避行動だと考える

 銀行業界は、ここ数年何社も倒産しており将来の拡大が見込まれない衰退期に突入している。

 衰退期の市場では、一言で言えば「生き残りを賭けた消耗戦(価格競争)」が繰り広げられる。

 景気回復が見込まれ、今までのような低金利政策が続行されることはなくなる。そんな中、銀行間で貸出金利の低下といった価格競争が口火を切ってしまったら、利ざやで儲ける銀行の利益減少は避けられないだろう。

 様々な特典を付けることはスイッチングコストを高くし、価格が多少高くなってもライバルに移りにくくするということである。
 つまり、顧客を囲い込むことにより、衰退産業で発生する価格競争からの回避を目指しているのではないか?