朝、仕事に出ようとして隣のオバちゃんと目が合いました。「おはようございます。今日はデイの日?」「いや今日はこれから病院や。1週間。デイと病院の繰り返し。それにしても暑いなぁ。ウチクーラー無いから出かけてるほうが楽やねんわ」「家の中で熱中症になる人多いらしいから水分補給忘れんようにせなアカンよ」「いよいよという時は助けてや」「具合悪くなりそうなら夜中でもいいから早めに電話してな」(立派な子供が3人もいるのにエアコンぐらいつけてあげればいいのに・・・)気分害するかもしれんし、どんな事情があるかわかりませんから口には出しません。
 気象庁が発表する気温は、全国に設置されたアメダス(無人観測所)で観測されており、昔の百葉箱のように地上から1.5m程の地点で、人工的な熱源の近くを避け、熱がこもらないように風通しが配慮され、地面はに照り返しの影響が少ない芝生などで、直射日光が当たらないようにして、つまり最良の状態。日陰での気温を計ったものです。
 ウチの付近も含めて都市部ではアスファルトからの照り返しに加え、ビルからの輻射熱と照り返しといったヒートアイランド現象で気温が上昇しやすくなっています。都市部でなくとも、直射日光の下での体感温度は気象庁発表の気温よりもかなり高いというのが実際です。だから知らないうちに熱中症になってる人が多い。おまけに高齢者はどういうわけか我慢強い。これが災いします。
 昔、吉田兼好が記した「徒然草」には、「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比(ころ)わろき住居(すまい)は、堪へ難き事なり」とあります。当時の日本は今ほど暑くはなかったと思いますが昔の日本家屋は、日差しの強まりとともに襖や障子を開け放ち、室内を広々とさせ、風通しをよくし、すだれをかけて涼感を得ていました。すだれは強い日差しを和らげるとともに昼間は目隠しの効果もあり、風をよく通し、見た目にも涼しげです。そしてもともと占いや魔除けの道具だったという風鈴も、一服の涼を運ぶ情緒豊かな夏のアイテム。(音で涼を感じるというのは相当高度な文明人)チリン、チリーンとなる風鈴の音色は耳にも涼やかですが今の密集した住宅地やマンションなどでは風鈴の音は生活騒音に分類されています、考えてみればこと住環境に関しては昔のほうがずっと贅沢だったように思います。