ある対象への金銭的・精神的・時間的投資を継続することが新たな損失を発生させることが明白であるにも関わらず、それまでの投資を惜しみ、支出をやめられない状態を経済用語で「コンコルドの誤り」あるいは「サンクコスト効果」と言い、この場合の戻ってこない費用を「埋没費用(サンクコスト)」といいます。コンコルドというのはサンクコストの典型ということからいわれるようになったそうですが巨大な鳥が羽を広げたような形をしたジェット機。音速を超えるというのがうたい文句でしたが運用段階で赤字が免れないことは開発の途中で判明していましたが、それまでの投資がムダになることを恐れた英仏当局により開発が続行され、わずかばかり生産された挙句商業的に大失敗に終わっています。
これほど極端ではないでしょうが例えば、入会金の2万円を払い、月々5000円の会費を払う契約をしてスポーツジムに入会したが、その後しだいに行かなくなった。今やめても入会金や支払った額は返還されず、またそのうち行くかもしれないので契約をそのまましておいた・・・この場合の支出がサンクコストです。わずかばかりの割引に目がくらみ作ったカードが数十枚。預金残高見て「これ何の引き落とし?」よくよく考えてみるとカードの年会費。ほとんど使ってません。でも現金の持ち合わせがないとき、あると安心かな?と未だに解約してません。(コンコルドとはちょと次元が違いすぎる?)採算がとれないと分かっていても、すでに投下した資金を思ってプロジェクトを続行するケースはダムや空港などの公共事業によく見られます。そうしているうちに投下資金は当初の予想の数倍に跳ね上がり完成したときは状況も変わって元が取れるなんて思ってる人は誰もいない。

 経済的合理性に反するこのようなことが起こる原因としては複数考えられます。

 まず一つ目は、一般に人はプラスの刺激よりもマイナスの刺激に対してより敏感であり、損失を明らかにすることを回避しようとする傾向があるため。

 二つ目は、間違いを認めることへの抵抗。計画の中止は、過去の決定が間違っていたことを否応なしに認識させます。決定に関わった人は、中止した際の悪評を恐れたり、自尊心が傷つくことを避けるために、中断ではなく続行を選ぶことになります。

 三つ目は、子供の頃から耳にしてきた「ムダにするな」という言葉が、意志決定に影響した結果です。本来、サンクコストに適用すべきではない標語ではありますが、支払ったコストをムダにしないという考えが呪縛となり、過去の出費にこだわってしまうために現状の維持と継続を選択させ、結果的に損失拡大につながります。
私は三つ目が多い。理屈では分かってるんですけどねぇ