ハエを見かけました。ぐずぐずとはっきりしない天候が続いてますが多分今年はじめてだと思います。好きな人はいないと思いますが五月の蝿と書いて「五月蝿」(さばえ)というそうです。五月雨と書いて「さみだれ」と読むのと同じ流れですが五月雨は絵になりますが五月蝿はいけません。「五月蝿なす」とはうるさい。騒がしいの枕詞。嫌われものやね
ある和尚のところに、資産家が相談にやってきました。資産家は苦しい現状を話し、進退窮まっている状況を懸命に話すのですが、和尚はボロ寺の破れた障子と飛び回るハエのほうばかりを見ていて、聞いているのかいないのか? たまりかねた資産家が「和尚、私の話を聞いているのですか!」というと、和尚は「かわいそうに、このハエは外に出ようと何度も何度も障子にぶつかっておるわ。ボロ障子であちこち破れて穴が開いているのにのぉー。」資産を築いた人物だけに、これを聞いてハッとします。今の自分はこのハエと何ら変わらないではないか! 目先のことにとらわれて、実は何も見ていなかった自分に気づきました。資産家は丁重に礼を言って寺を辞したそうです。
人は時に、些細なことにとらわれ、悩み苦しみます。大河の中、下流に行きたいのに一本の杭に引っ掛かっている。引っ掛かっているならまだしも、自分の手で掴んでいて、困った困ったと言っていることが案外多いのではないでしょうか。丁度今の私がそう。障子の穴が見つからない。出口はどこやろか?杭を離すと溺れるかもしれん。かといってずっとしがみついていてもいずれ流される。
やっかいな性格です。