S 手話講座主催で映画鑑賞会がありました。若き日の加山雄三がチョイ役で出ています。1961年制作。モノクロ作品ですが改めてみるといい映画です。舞台は1945年6月から始まります。戦争末期から敗戦。健常者でさえ生きていくのが精一杯という時代に聾唖者2人が結ばれる。プロポーズは動物のいない動物園。周囲の反対を押し切って妊娠出産。ところがこの第一子。夫婦が熟睡している真夜中に起き出してハイハイして戸外へ出て死亡。聾唖者ゆえの悲劇。悲嘆にくれて「もう子供は作らない」という妻に夫が「二人で力を合わせればきっと育てられる」折から夫の勤めていた会社が火事。仕事もなく二人で靴磨きをしてなんとか生計を立てていた頃。男の子に恵まれます。貧しくとも荒むことなく。つつましやかな暮らし。「僕はこの家族と一緒にいる時は聞こえない耳が聞こえるような気がする。あなたと一緒になれて本当に幸せ」「私はあなたに何もして上げられないのが辛い」。夫婦になるということは親戚が倍になることでもある。妻の弟は刑務所を出たり入ったり、夫の月給まで横取りし妻が内職のためと母から買ってもらった中古のミシンまで売り払ってしまう。あまりのひどさと夫への申し訳なさに妻は弟と刺し違えるつもりで家出、それを追う夫。電車の中での手話。(これ、泣かせます)やっと授かった男の子。元気に育つのはいいがこんどは両親の障害が嫌でなにかと反抗する。悩む母。そして・・・全部言ってしまうと「オマエは浜村純か?」といわれますので以下省略。全編通じて夫婦(高峰秀子。小林圭樹)この二人の手話がいい。きれいです。なにより指先が美しい。レンタルしてもう一度見てみたい。松山善三初監督作品。ちなみに高峰秀子は監督夫人でもあります。