「謙虚な心情に支えられた精神薄弱な人びとのあゆみは、どんなに遅々としていても、その存在そのものから世の中を明るくする光がでるのである。単純に私たちはそう考える。精神薄弱な人びとが放つ光は、まだ世を照らしていない。世の中にきらめいている目もくらむような文明の光輝のまえに、この人びとの放つ光は、あれどもなきがごとく、押しつぶされている。・・・しかし私たちは、この人たちの放つ光を光としてうけとめる人びとの数を、この世にふやしてきた。異質の光をしっかりとみとめる人びとが、次第に多くなりつつある。人間のほんとうの平等と自由は、この光を光としてお互いに認めあうところにはじめて成り立つということにも、少しずつ気づきはじめてきた。」糸賀一雄(日本のノーマライゼーション思想の先駆者。精神、知的障害児教育にその半生をかけた近江学園初代園長)