これまで見た映画で最も印象に残ってるイタリア映画。好きな映画の一つです。なんせ生まれる前の作品ですから公開された頃のことは知りません。そんなんで始めて見たのはTVの画面でした。ストーリーは極て単純。長い失業の末、映画のビラ貼りの仕事についた主人公。妻がシーツを売った金で自転車を質屋から受けだし息子と一緒に町を回ります。ちょっとした隙に自転車を盗まれ探し回ります。泥棒市場みたいなところで犯人と思しき人物にめぐり合いますが取り返せそうになく精神的に追い詰められ、あげく他人の自転車を盗みます。ところがアマチュア?の悲しさ、すぐに見つかり子供の見ている前で袋叩きにあう。これだけの映画です。主人公の俳優も子役のオーデションに付いていったところを「その貧乏くさい顔がいい!」と抜擢された全くの素人。監督ビットリオ・デシーカの才能です。盗られた自転車を探し回れどなかなか見つからず、半ば「やけくそ」で息子と一緒にレストランに入ります。普段いいもの食ってない悲しさ、ピザしか解りません。隣の席の「あほぼん」がナイフとフォークを器用に使って食べるのに見入りながらピザを食う。視線が合います。「イー~ッダ!」(笑)ラスト、他人の自転車を盗んで捕まえられ群集に小突き回されるのをかばい。父親にしがみついて泣きじゃくる息子。寄り添いとぼとぼ歩いて・・・後年あのソフィアローレンを演技派女優に脱皮させた「ひまわり」。この作品もやっぱりデシーカのパワーを感じます。戦地に赴いて消息を絶つ夫。戦死?信じられない、信じたくない。探します。これもラストがいい!一面のひまわり畑・・・泣かされます。これを話すとまた長くなる。「ひまわり」についてはまた今度ネタのない時。