日本相撲協会は31日、次の春場所に向けた番付編成会議と臨時理事会を開き、埼玉栄高校出身で、初場所で13勝をあげた琴ノ若の大関昇進を正式に決めました。琴ノ若は新関脇で迎えた去年の秋場所で9勝、続く九州場所で11勝、そして今月28日まで行われた初場所では幕内優勝争いに加わって13勝を挙げ、三役で臨んだ直近の3場所の勝ち星の合計を大関昇進の目安33に届かせていました。


大相撲で大関昇進が決まった琴ノ若が記者会見し、「部屋の兄弟子の大関昇進を見てきたが、それを自分でできたことがありがたい」と喜びを語りました。


31日は日本相撲協会の臨時理事会で琴ノ若の大関昇進が正式に決まったあと、協会の使者2人(花籠親方と鳴戸親方)が千葉県松戸市の佐渡ヶ嶽部屋に赴き、琴ノ若と師匠の佐渡ヶ嶽親方に伝達式で昇進を伝えました。これを受けて琴ノ若は口上で「大関の名に恥じぬよう、感謝の気持ちを持って相撲道に精進して参ります」と決意を述べました。このあと記者会見した琴ノ若は「緊張は昨日からあって、伝達式の最初に一瞬、ことばが飛んで長く感じた。目の前で部屋の兄弟子の大関昇進を見てきたが、それを自分でできたことがありがたい」と喜びを語りました。口上に込めた思いについては「難しく考えず、自分が思ったことを素直に言おうと思った。感謝の気持ちというのは先代の佐渡ヶ嶽親方にも中学、高校の先生にもずっと教えていただいたことでこの気持ちが一番大事だと思った」と話しました。祖父でもある元横綱・琴櫻のしこ名を継ぐかどうかが注目されていましたが、師匠で父でもある佐渡ヶ嶽親方と同じしこ名の琴ノ若のまま、3月の春場所に臨むことを明らかにしました。琴ノ若は「この名前で上がるのが大事なのか、この名前で大関と呼ばれて土俵に上がるのが大事なのかを考えて、自分自身としても1場所でもこの名前で土俵に上がりたい思いがあった」と話した上で春場所後に琴櫻のしこ名を継ぐ考えを示しました。その上で「もう1つ上の番付があるので、上を目指して気を引き締めてやっていかないといけない。強い気持ちや責任を持って土俵に上がっていきたい」と新大関としての決意を新たにしていました。


琴ノ若は千葉県松戸市出身の26歳。埼玉栄高校を卒業後、佐渡ヶ嶽部屋に入門し、平成27年の九州場所で初土俵を踏みました。祖父は元横綱・琴櫻、父は師匠である元関脇・琴ノ若の佐渡ヶ嶽親方と、三代続けての幕内力士です。新大関が誕生するのは去年7月の名古屋場所後に昇進した豊昇龍以来で、日本出身の力士ではおととしの初場所後に昇進した御嶽海以来、2年ぶりとなります。千葉県出身の新大関が誕生するのは、昭和30年の秋場所後に昇進した松登以来、69年ぶりです。


今年3月の大相撲春場所に向けた番付編成会議が開かれ、初場所で幕下優勝を果たした関脇経験者の若隆景が十両に復帰することになりました。


今年3月の春場所に向けた番付編成会議は31日、東京の両国国技館で開かれました。


その結果、新たに十両に昇進する力士はいませんでしたが、初場所で幕下優勝を果たした荒汐部屋の若隆景のほか、4勝3敗と勝ち越した山響部屋の37歳・北はり磨、けがから復帰し、6勝1敗の成績を残した宮城野部屋の伯桜鵬、境川部屋の十両経験者・對馬洋の4人が再び十両に昇進しました。


このうち、若隆景は東の関脇だった去年の春場所で右ひざを痛めて途中休場し、そのあと、手術を受けて3場所連続で休場しました。平成30年の夏場所以来、6年近く守った関取の地位から陥落したものの、復帰した去年の九州場所では東の幕下6枚目で5勝2敗と勝ち越すと、今月の初場所は西の幕下筆頭で迎え、持ち味の下からの厳しい攻めで白星を重ね、7戦全勝で幕下優勝しました。


また、西の幕下2枚目の北はり磨は、初場所の14日目に十両の天空海に勝って、4勝3敗と勝ち越して令和2年の秋場所以来、21場所ぶりとなる十両昇進を決めました。37歳6か月29日での十両昇進は戦後では2番目に高年齢の記録です。


20歳の伯桜鵬は新入幕だった去年の名古屋場所で幕内優勝争いに絡む活躍を見せましたが、左肩の手術を受け、続く秋場所から2場所連続で休場しました。復帰の場所となった初場所は西の幕下5枚目で迎え、6勝1敗と好成績を残していました。


幕内経験者で36歳のベテランの東龍や元十両の千代嵐など17人の力士の現役引退も発表されていました。


大相撲春場所は大阪府立体育会館で今年3月10日に初日を迎えます。


日本相撲協会理事候補選挙で定員数ちょうどの立候補(理事と副理事)で無投票、今月26日に春場所後の春巡業の日程を発表など大相撲のニュースも入ってましたが、4月14日にさいたまスーパーアリーナで大相撲春巡業の開催が決まりました。