2021年 冬ドラマ


ーあらすじー

ドラマは長くなるので概要のみ


大手百貨店で勤務していた笛吹新は

左遷で物流倉庫へ出向組として派遣される。

その日は新の40才の誕生日。

朝礼で挨拶していたのは若い頃に婚約を

破棄された元カレの前園だった。

さんざんな1日に疲れた新が見つけたのは

40才以上のホステスの募集の張り紙。

店の名前は『OLDJACK&ROSE』

「今、ここで何かしないと、自分の人生

を嫌いになる。」そう感じた新は店で

ホステスのアルバイトを始める。

店は60台以上の熟女ばかり。

しかし、その空間はくじらママを中心に

元気で明るく働く高齢の女性たちだった。

新はバイトを始めたことで、少しずつ

職場でも前向きになり、また、ぎくしゃく

していたチームリーダーのスミレとも

友人になった。

戦前、戦後を生きてきたホステスたちの

中心にいたのは既に他界した『ジルバ』

だった。

様々な問題をかかえ生きていたホステス

達と関わりながらその内面に触れ、

強く生きてきたジルバに想いを馳せる

新だった。

そんな時、ジルバを訪ねて青年が訪ねて

きた。

ジャーナリストの白浜はブラジルで

出会った老人がジルバの親戚である

ことからジルバの事を本にしたいと

取材にきたが、他界したジルバの話を

聞き、ブラジルへと帰っていった。

新が働き始めて一年。コロナウィルスの

影響で経営が悪化した店は閉店すること

になり、新は田舎に帰省した。

なにも手につかない新の元に白浜から

手紙が届く。ジルバと老人について

わかった事だった。

その手紙を見て、ジルバの想いを感じた

新は東京へもどり、『OLDJACK&ROSE』

を再開することを決心した。




ー感想ー

心に重いドラマでしたが、とてもいい

作品でした。

年老いても元気に働くホステス達に

支えられながら自分を見つめていく

新に勇気づけられるドラマでした。


昭和が遠くなった現在。

日本の歴史が取り残してきた戦争の

爪痕や、昨今問題視されている未婚高齢者

の問題。正社員とパートの格差。

家族のありかた。

様々な問題を取り入れつつ進むストーリー

に涙する話もありました。

絶対泣ける話で「死」や「別れ」を題材

に描くのは当たり前ですが、そうではなく

それぞれの人生の重さや、生き方に感動し

自分の境遇と相殺しながらついつい

泣いてしまいました。

そういう、本来の意味での「琴線に触れる」

とても、いいドラマでした。

印象に残ったシーンはいくつか

ありますが、5話で新、みか、スミレの

三人がこたつで女子会をするシーンは

好きでした。40になりそれぞれの人生の

岐路を考えながら離れていく友人との

別れを惜しむ姿が若い世代ではない

からこその寂しさを感じました。

おそらく、若い世代の人にはなかなか

伝わらない部分も多いドラマかと思います

が、新と同世代の40台以上の女性には

共感出来る人も多いかと思います。

そして、ラスト。

JACK&ROSEを続けたいと、一念発起した

新に、私も少しだけ勇気と前向きさを

もらえたように思います。


また、このドラマには私個人の特別な

想いもありました。

既に他界した母は生前、Barを経営して

いました。

母は昭和3年生まれでしたから、

『OLDJACK&ROSE』のジルバと同じ

くらいの歳かと思います。

戦後の苦しかった話も沢山聞きましたし、

従業員名簿も目まぐるしくかわり

沢山のホステスさん達が来て、また、

去っていく。

私は、娘としてそんな店を見てきました。

そんな昔を懐かしく思い出させるドラマ

でもありました。


〈別記〉

主人公の池脇千鶴さん。

もう、そんな年になりましたかぁ。と

思ってしまいました。

今回、江口のりこさんとの共演という事で

『ジョゼと虎と魚たち』を思い出しました。

あれから20年弱経って、お二人共に

感じも変わっていて、どちらも素敵に

なっていて驚きました。

江口のりこさん。

スミレのキャラクターのせいもありますが、

更に安藤サクラさんに似てきた感じが

します。


何より、今回目を見張るのは、

草笛光子さん中尾ミエさん、草村礼子さん

品川徹さんなどの重厚な俳優陣でした。

草笛光子さんの美しさもさることながら

草村礼子さんは意外でした。

ふんわりした感じはそのままに、出過ぎず

埋もれない存在感はバイプレイヤーとして

流石としか言いようがありません。

また、品川徹さんがとても素敵でした。

名優さん達がここまでガッツリ見れる

ドラマも少ないと思うので、そういう

意味でも、とても貴重でいいドラマだった

と思います。