2018年 公開

ーあらすじ概要ー
歌う為に声帯ドーピングで爆音の声を得た
シンは、薬の影響で声帯が限界に。
ライブ中に吐血し騒ぎになる中、シンは
現場から逃走。
一方、ミュージシャン志望のふうかは、
学生時代のトラウマから大きな声が
出ないため、路上ライブでは聞こえないと
言われるほど声の小さいシンガーだった。
バンドメンバーは去って行き独りに。
ふうかは走って来たシンのバイクと
鉢合わせをし、二人は出会う。
シンは「出来ない理由を探す」ふうかに
妹の姿を重ね、放っておけなくなっていた。
そんな中、シンはドーピングや、口パク
疑惑の渦中に。
スキャンダルを受け社長とレーベルの担当
坂口は人気ミュージシャンのシンの喉が
限界なのを知りつつツアーを計画。
シンの喉は発作を繰り返すと声が出なく
なる事を知ったふうかはシンに韓国で
手術を受けることを提案。
二人は韓国へ。
坂口と社長は行方不明となったシンを
探して韓国へ飛び、二人を見つけるが、
シンとふうかが逃げた先は、ふうかの実家
である花火工場。
花火を爆発させ、大騒ぎになったところで
警察が到着し、シンは逮捕されてしまう。
火薬取締り法違反で捕まったシンは
日本に帰国出来ないまま収監され、一方
シンから歌う事を託されたふうかは
日本でシンガーとして売れっ子に。
韓国にいるシンに歌を届けたいふうかは
対馬でライブをする。
シンは日本から吹いてくる風にふうかの
歌を感じ、看守の制止を振り切って壁に
向かい両手を広げて風を感じながら
看守に銃で撃たれる。




ー感想ー
微妙なノルタルジック感のある映像の中の
ビビッドな色使いに独特の世界観を
感じます。
ストーリーも摩訶不思議な感じですが
登場人物も個性的で絶妙なバランスが
見ていて楽しい作品でした。
監督、脚本が三木聡さんということもあり
「あの」メンバーでの作品。
吉岡里帆さんや、麻生久美子さん
ふせえりさん等々。
作風が独特なのて好き嫌いが別れるかと
思います。
私はこの手の作品は大好物なので面白く
見れました。
大人の心にチクリと刺さるセリフは
シンがふうかに毎回言う
「やらない理由を見つけている」
でした。
作中、やらない理由を見つける事を止めた
ふうかがシンの意思を継いで歌う姿は
切なく、韓国で収監され働くシンの姿も
また、切ないモノでした。
ラスト、対馬でシンに向けて歌うふうかの
歌声は聞こえなかったとしても、
ふうかの思いは風に乗ってシンの元に
届いたのだと思います。
風にふうかの声を感じながら、シンは
両手を広げる。
銃で撃たれたシンは死んだのか?
はっきりとは描かれて居ませんが、歌を
無くし日本にも帰れず、ふうかに会えない
シンは風にふうかを感じながら亡くなった
と捉えるのが素直かなぁと、思います。

少し残念だった点が3点ほど。
今回、ふうかは吉岡里帆さん。
ラストの歌うシーンの吉岡さんの歌が
私の思ってたのとはちょっと違いました。
シンの意思を継いだわりには曲もホップ系
ですし、歌もパワー不足のように
感じました。
もう一つは、声が小さいキャラですが
それほどかな?と思ってしまったこと。
話が進むに連れて更に普通に。
セリフが聞こえなければ映画には
なりませんが、冒頭は聞こえなさすぎて
字幕とかでもよかったのでは、とか
思ってしまいました。
最後の残念は、ハッピーエンドとは
言えないラスト。
ハッピーエンドが好きな私としては
そこが一番、残念でした。

悲しい結末で、感動とまでは行きませんが
色や雰囲気に監督の「らしさ」を感じる
良いコメディだったと思います。