2019年 公開

テレビドラマの続編です。

ーあらすじ概要ー
宮本の実家で靖子との結婚の報告をする
二人だか、何か事情がある様子で・・・

マルキタ文具で働く宮本浩は退職した
神保の知り合いである中野靖子と親しく
していた。
宮本が靖子の家で夕食を摂っていると
靖子の元カレ裕二が靖子の家を訪ねてくる。
裕二と揉める靖子を見かねた宮本は
靖子を守ると裕二に宣言。
宮本は靖子と付き合うことに。
ある日、宮本は取引先の真淵に誘われ
ラグビーチームに入ることに。
マネージャーとして靖子が手伝う事になり
宮本は靖子を連れてラグビーチームの
仲間と飲みに行く。
飲み過ぎで潰れた宮本を家に送る為、
真淵は息子の琢馬を呼びつける。
宮本と靖子を家に送った琢磨だが、
酔いつぶれて眠るのを待っていた琢磨は
靖子を犯す。
翌日、眠り込んでいた宮本は靖子から
事情を聞き激怒。傷ついた靖子を慰める
事が出来ない宮本は、ラグビーの試合当日
琢磨が来るのを待って戦いを挑むが、
元々ガタイが良くラグビー選手だった
琢馬に瞬殺で倒される。
諦めきれない宮本は琢馬を倒すまで靖子
の元に帰らないつもりで家を出る。
宮本が去った後、靖子の妊娠が発覚。
靖子は元カレの裕二に全てを話す。
裕二は宮本に、お腹の子供は裕二の子か
宮本の子か生んでみなければわからない
と話すが、宮本は靖子にプロポーズを
する。靖子はお腹の子供は誰の子供でも
なく自分の子供だとプロポーズを断る。
宮本は琢馬の事を清算しなければ前に
進めないと、琢馬と決着をつける為、
無理を承知で挑み勝利。重症の琢馬を
連れて靖子の元へ行き再度プロポーズを
する。

時は経ち、靖子の陣痛が始まった。
そこには靖子に付き添う宮本の姿があった。




ー感想ー
キャストもドラマから、そのままで
すんなりみれました。
ドラマを見ていなくても楽しめますが
宮本の性格はドラマを見ていないと
把握しにくいかと思います。
映画だけでも楽しめるかもしれませんが
ドラマを見た方がより理解出来る内容
かと思います。

ドラマの宮本は、真っ直ぐだけど融通の
きかない性格に悩んだり、自分が置かれて
いる状況から逃げている自信のない自分を
許せない行き場のない気持ちの葛藤が
ありました。
映画の宮本は製薬会社の事を乗り越え、
美沙子と決別したことで何か一つ芯の
ようなものが出来たように思います。

靖子が宮本に言う
「俺が、俺がってあんた、自分の事
ばっりじゃない」
この言葉に返事を返せない宮本は琢磨の
元に向かいます。
結局、琢磨との決着がつかない事には
靖子を守れなかった自分の筋も通らず
気持ちの置き所も無いと考えたのかと
思います。
血まみれの宮本が琢磨を連れて靖子に
結婚してくれと言い、結婚しないと
言う靖子は宮本に
「喧嘩しろとも、連れてこいとも言って
ない。私のためというなら大迷惑だ。」
といいます。
宮本の出した答えは
「全部俺の為だからよぉ。」
「呆れてもかまわない。
嫌いでもかまやしねぇ。
お前がどう思おうが知ったこっちゃねぇ。」
これに尽きると思います。

宮本は全力で「自分の為に」生きています。
みんな、家族の為、子供の為、恋人の為
友人の為と、色々と理由をつけますが
結局は「相手」が喜ぶ姿を見たい、
認められたい、その結果「嬉しい」という
自分の欲求の為にしている事なんだと
あらためておもいました。
自分の欲求に理由をつけない宮本の
生き方は不器用だけど素敵だと思います。

そして、ついつい宮本のキャラクターが
強烈なので目が行きがちですが、宮本を
取り巻く人たちも素敵な人が多かった
ように思います。
ドラマで出て来た先輩や上司、同僚。
琢磨のお父さんの気持ちも親として
よくわかりますし、宮本や靖子の
両親の気持ちも察することはできます。
また、靖子の行き場のない怒りや、
心細さは女性なら共感出来る部分は
多いと思います。
ドラマ、映画を通して見て、とてもいい
作品でした。


しかしながら、リアルに宮本みたいな
男性がいたとして、自分の旦那が宮本
だったら無理だなぁ。

〈別記〉
今回注目は蒼井優さん。
初めて見たのは「リリィシュシュのすべて」
でした。
ずっと、色々な作品で見ているので
それほど気になりませんでしたが、
あらためて見ると大人になったなぁと
つくづく思います。
そりぁ、私も年を取るわけだ。
靖子はちょっと掴みにくい性格の持ち主
だと思いますが、蒼井さん演じる靖子の
強さと弱さの共存具合はとても共感出来る
ものでした。
恋愛ドラマのような甘い「好き」とか
「恋愛」とは違う宮本と靖子の関係が
二人それぞれの態度や表情から読み取れ
ます。池松壮亮さんも凄いと思いますが
それを受け止める蒼井さんもまた、凄い
女優さんなのだとあらためて感じました。

〈別記2〉2021年2月3日追記
真利子監督の「イエローキッド」も
日本映画専門チャンネルで見ました。
何処か泥臭いような懐かしい雰囲気の
映像は「らしさ」なのかなぁと感じます。
ただ、商業作品としては弱いです。
苦しい生活の中でボクサーになる夢と
現実と憧れていたマンガの主人公と。
ギリギリの精神状態で一つのきっかけから
現実と虚構をリンクさせていく感じは
とても良かったのですが、解釈が難しく
専門学校や大学で映画について学んだ人
でしたら、カメラの角度や、光の当て方、
構成等で作品の意図を読み取ることも
出来るのでしょうが、素人の私には
コアな映画ファン向けのように感じました。
素人の私には「結構良かった」と、思える
ギリギリのラインの作品でした。
そう思うと、同じ監督の作品でも
「宮本から君へ」はとても見やすくて、
完成度の高い作品だと思います。