2019年 公開

ーあらすじ概要ー
東南アジアの島嶼(とうしょ)国家
カレドルフは周辺諸国と共に
国家共同体「東亜連邦」を設立。
東亜連邦は領土回復を主張。
海上保安官を人質に初島を占拠。
海上警備行動発令により、空母いぶきと
護衛艦4隻と潜水艦1隻で初島へ派遣される。

初島へ近づく「いぶき」だが、敵からの
攻撃を受ける。
指揮官である涌井の負傷により、
艦長である秋津に指揮権が委ねられる。
守る為に戦闘するべきと考える秋津と
双方の命を奪う戦闘は回避すべきと
考える副艦長の新波は衝突する。
戦争の放棄により、戦闘に入れない
「いぶき」は防戦するが厳しい状況に。
そんな中、「いぶき」の取材の為、
乗り合わせていた記者の本多裕子と
田中俊一は爆撃された護衛艦の映像を配信。
総理大臣の垂水は記者会見をすることに。
日本政府は初島占拠により既に戦死者、
負傷者が出ている事から国連等へ介入を
要請。
度重なる攻撃に護衛艦2隻となった
「いぶき」は防戦しながら初島へ向かう。
ギリギリの戦闘の中、敵戦闘機24機と
敵艦隊が「いぶき」へ向かっていた。
ミサイルの迎撃により甲板に破片が散乱し
戦闘機を発進出来ない「いぶき」は船のみ
で戦闘機を迎え撃つ絶体絶命の状況に
陥るが、ギリギリの所で手を出さず
静観していた国連各国の潜水艦の
威嚇発泡により、東亜連邦は初島を
解放し戦争は回避される。




ー感想ー
原作は読んでいないので映画のみの
感想です。

映画には色々ジャンルはありますが
基本的には
・事実史実を元にした「ノンフィクション」
・記録映像である「ドキュメンタリー」
・架空を創造した「エンターテイメント」
の三種類かと思います。
「空母いぶき」はストーリーは見てる人を
飽きさせないフィクションにまとめ、
アイテムなど映像的には実在するモノを
組み込んだ、とても面白い
エンターテイメント作品かと思います。

こういう架空戦闘モノは本題に入るまでが
長く、退屈しがちですが、最後まで
ドキドキしながらみれました。
原作とは全く違うようなので、原作を
大事にする方や、自衛隊がどうだ、
政治がどうだ、実際の戦闘はどうだと
リアルと対比してみる方には向かないかと
思います。
逆に、難しい専門用語や、難解な政治的
なものはないので、女性でも見易い作品
だと思います。

戦争モノ等だと、ガンガン撃たれたり
戦闘機がバンバン墜落するのですが
この作品では、一機の戦闘機が撃たれる
事や、一隻の船が沈むことが、いろんな
意味でとても重要視されていて、
秋津の考え方にも、新波の考え方にも
共感出来る部分があり、作品でも是非を
つけていないのが良かったと思います。

何より良かったのは「緊張感」。
サスペンスや体を張ったアクションとは
また違った緊張感が面白く、
思ったより話しにスピード感があり
手に汗を握りながら見れました。
敵については一切描かれず、日本側のみ
に焦点を当てていて、敵の動向が
わからない事で、なんとも言えない
もどかしさや緊張感があって良かったと
感じます。
また、その一方で平和なコンビニ店員の
日常を対比させている所は絶妙でした。
監督が若松節朗監督。
「ホワイトアウト」や「沈まぬ太陽」の
監督でした。
「ホワイトアウト」はドキドキ感が好きで
何度も見ましたが、この作品も、負けず
劣らずドキドキしました。
全体に評価の低い作品のようですが
劇場で見たら映像の迫力と展開の早い
スリリング感で120分あっという間
だったと思います。


〈別記〉
キャストが豪華。
西島秀俊さん。佐々木蔵之介さん。
佐藤浩市さん。市原隼人さん。藤竜也さん。
本田翼さん等々。
今回注目したのは市原隼人さん。
一時は「情熱大陸」で取り上げられる程の
人気でしたが、すっかりメディアでの
露出は少なくなってしまいました。
最近(2~3年)前から、映画やドラマでも
少し復活してきていて、嬉しい限りです。
癖のある台詞回しや動きですが、
それが市原さんの魅力かと思います。
どんな役でもこなせるタイプの俳優さん
では無いようですが、その分、役に
ハマった時の存在感は絶大です。
特に時代劇は昨今の役者さんは皆さん
線が細いので何だか物足りないのですが
時代劇の市原さんはどの役も素敵です。
歳を重ねて若い時とは違う色気や
言葉に重みが出てきたように思います。
今後バイプレイヤーとしても活躍して
もらえたら嬉しいかな。