2018年公開

『空海』というと昔見た北大路欣也さんの
空海を思いだしそのイメージで空海役が
染谷将太さん?え?と、思っていましたが、
原作が夢枕獏さんでしたので見てみました。
案の定、ファンタジーホラーでした。

原作は読んでいないのですが元は
「長恨歌」かなぁ。と勝手に解釈してます。
国語だか古文だか歴史だか?
かすかな記憶ですが・・・

内容は
唐の都、空海は修行の為に度々青龍寺を
訪れるが入れてもらえず帰国しようかと
考えていた。
その矢先、皇帝が憑き物で臥せって
いると空海が呼ばれる。空海が到着すると
時は遅く、皇帝は崩御。風邪とされた。
空海はそこで黒猫の影を見る。
また、黒猫は皇帝の護衛をする高官の屋敷
にも現れ、次々と怪事件を起こしていた。
空海は行き掛かり上詩人の白楽天と共に
黒猫の謎を解くことに。
黒猫の正体は先代の皇帝の飼い猫で、復讐
の為に現れたという。
謎を追ううち、空海と白楽天は先代の皇帝
の時代に居た阿倍仲麻呂の日記から楊貴妃に
ついての記述があることを突き止める。
日記の記述を頼りに楊貴妃の死の真相に
たどり着く。
安禄山の乱の中、皇帝の兵士達から戦乱の
原因は楊貴妃にもあるとして殺すように
皇帝に詰め寄る。
楊貴妃に死んでくれと言えない皇帝は
術師と相談し術を使って仮死状態にし、
後で蘇生させる策を練る。
術師の弟子の丹龍は楊貴妃の前で実演し
信用させ、楊貴妃に術をかける。
ところが皇帝は術をかけられた楊貴妃を
家臣に命じて絞殺する。
遺体は棺に入れられ飼い猫とと共に
埋葬された。
その後、楊貴妃を慕う白龍と丹龍は生きて
いると信じ楊貴妃の遺体を運び出す。
術の効力で遺体は朽ちることはなかったが
術が解けず蘇生しない楊貴妃を不振に思う
白龍に丹龍は全てのいきさつを伝え楊貴妃
は死んでいて蘇生しないと告げる。
蘇生すると信じる白龍と丹龍は決別し、
残った白龍は黒猫に姿を変えていた。
楊貴妃の死を受け入れられない白龍だった
が、空海の説得によって死を受け入れ
それと共に白龍も死んでいった。
事件は解決し猫の妖怪も出なくなった。
空海は帰国前にもう一度、青龍寺に向かうと
門は開き出て来たのは丹龍だった。

かなりざっくりですがこんなお話。

映像は華やかで美しく、日中合作とは
言うものの舞台が中国なので中国寄りの
色合いや雰囲気が他に無いエスニック感を
出していて非常に幻想的でした。

邦題が「空海」なので勘違いした方も多い
かと思います。
海外用には全く違うタイトルのようなので
邦題もファンタジーと分かるモノにすれば
また違ったかと思います。
もっと言えば原作で興すのではなく原案として架空の歴史ファンタジーの方が受け入れやすかったのではとも思います。
特撮、ファンタジー好きとしては面白い
作品でしたが、歴史が好きな人には
不向きな作品かと思います。

それほど難しい話ではありませんが既存の
人物を扱ってるだけに、空海や白楽天を
史実とは別のキャラクターとして見る目
が必要なので始めに違和感はありました。

最後ですが、白龍と丹龍が棺から楊貴妃を
山に運んだ時は楊貴妃は亡くなっています。
棺の蓋の裏に開けようとして引っ掻いた後
があるなら、一旦、術は解けているだろう
し爪が剥げたりだので棺の中の楊貴妃は
爪は剥げ、凄まじい姿で亡くなっていた
と思うのですが。また、術が解けている
なら遺体も朽ちていくかと。
丹龍と別れ白龍が遺体を管理し続ける途中、
楊貴妃の体から蟲が出て来たのは蠱毒かと
思いますが亡くなる前に飲んでいた酒に
入っていたのでしょうか?
黒猫の記憶が白龍の記憶となった時点で
楊貴妃の死を認識したからこそ復讐を
始めた筈なのに最後まで楊貴妃は死んで
いないと思いたいという白龍の気持ちの
矛盾もちょっと分かりにくかったかなぁ。

空海が陰陽師のような扱いなので
賛否あるかと思いますが単純にファンタジー
として見るなら結構面白く見れました。

〈別記〉
俳優陣は良かったです。
染谷将太さんの独特の雰囲気は良かった
のですがちょっと聖おにいさんの仏陀を
思い出してしまいました。
中国の俳優さんは全く知りませんが白楽天
をされていた黄軒(ホアンシュアン)さんも
白龍、丹龍役の方もとても素敵でした。
特に黄軒さん。
とても魅力的な俳優さんなので他の作品も
見てみたくなりました。

そういえば北大路欣也さんの空海。
中学生くらいの頃、学校単位でチケット
買ったようで全校生徒で町の文化会館に
見に行った記憶があります。
学校推薦の映画は退屈なものが多いの
ですがこの映画と中井貴一さん版の
ビルマの竪琴は学校推薦で見た映画の中でも
めちゃめちゃ感動したので覚えています。
私の学生の頃は学校行事で映画見たり
してましたが今時はそんな行事してる
学校ってあるんですかね?