『帝都物語』1988年の作品。

古い作品ですが、先日見た「二十面相・伝」
に嶋田久作さんが出ていて
久しぶりに見たくなりました。
劇場で見て、凄いなーと思ったのを
覚えています。
監督は特撮好き(ウルトラマンですが)なら
知らない人はいない実相寺昭雄さん。
脚本は私の大好きな「探偵事務所5」の
林海象さんでした。

内容は明治45年から昭和2年まで。
平将門を甦らせることで帝都を
滅亡させようとする加藤保憲と
それを阻止せんとする、将門の子孫
辰宮家との攻防を描いた作品。

今思うと陰陽ブームの火付け役となった
作品のように思います。
ちょうど同じ頃に夢枕獏さんの「陰陽師」
藤川桂介さんの「宇宙皇子」なんかを
小説で読んでいたと思うのですが
そういう時代だったんですかね。
ちなみにこちらの原作は読んでないので
比べることは出来ません。

30年程前の作品ですが、
今見ても見劣りしない作品でした。
元々の時代設定が明治~昭和初期なので
映像から見受けられる古さは感じませんが
出演されてる俳優さん達の若いこと。
亡くなられた方もいらっしゃます。
今ならCGで処理するであろう
町並み等もセットのようで
とても見ごたえがありました。

当時は気にならなったのですが
今思うと加藤が何でそこまで帝都に
怨みを持っていたのかが謎。

大正から昭和と長い期間を描いているので
混乱する場面は多少ありました。
ラストの洋一郎と由佳里が将門の塚に
飲み込まれましたが助かってるのに
助かったと思った恵子は加藤と共に
行方不明。
と、全体に謎を残すラスト。
当時は気にならなかった部分ですが
あらためて見てみるとストーリー上
気になる部分が出てきます。
ちょっと力業な展開ではありますが
加藤の圧倒的な強さを前に戦う
土御門家や辰宮家、取り巻く人達が
非常に魅力的で面白く見れました。

加藤の失踪と次回に余力を残してましたので
「帝都大戦」もみることにしました。




『帝都大戦』
翌年1989年の作品。
こちらはレンタルビデオで見てます。

前作は陰陽師をモチーフに
魔神加藤との対戦でしたが
「霊力」という名の「超能力」合戦。
舞台は飛んで昭和20年です
ヒトラーが死んでましたから。

前作で生き残った雪子は
人と関わることを避け看護婦として
働いていた。
一方土御門家を失った日本政府は
僧侶の法を用いて呪詛によって
敵国のリーダーを呪い殺すという
奇抜な作戦をしていた。
その呪詛によって蘇った加藤は再び
帝都を滅ぼす為に動き始める。

監督も脚本も前作の引き継ぎなし。
監督は一ノ瀬隆重さん。
「帝都物語」は特撮系で
「帝都大戦」はホラー系の監督なので
画面の暗さとグロさは仕方ないかも。
セカンドはたいてい失敗と
相場が決まっていますが、
こちらも例に漏れずスケールダウン。
ストーリーの重厚さは無くなり
加藤の執念とか強さは感じられず。
とても残念な感じでした。

加藤自身が主体となって帝都を
滅ぼすのではなく、米軍の爆撃待ち。
帝都を破壊するだけなら
正直関東大震災と何ら変わらないのでは。
前回あれだけこだわった将門の怨霊を
甦らせる執念は何処に?
将門にこだわってないので
しつこく雪子にこだわることなく
雪子が出てくる意味が無いような。
せっかく復活した加藤ですが、
計画性の欠片も感じない行動は
帝都物語の加藤の精細さに欠けます。
また、超能力かと思いきや蠱毒のような
術もあったりと何でもありな状態。
全体にこじんまりした上に一貫性もない
とても散漫なモノでした。

正直、南果歩さん見るまで
見たこと忘れてたくらいだから
見なくても良かったかも。

多分、時代の流れなんですかね。
ちょうど大友克洋さんの「AKIRA」が
話題になっていたくらいかと思うので
陰陽師よりは超能力ブームに
乗っかりたかったのかなぁ。
帝都物語のヒットを受けての制作かと
思いますが2匹目のドジョウならず。
といったところかと思います。