テレビのインタビューで、ある俳優さんが自分はすごく緊張するタチだと言っていた。
「なぜ緊張するかというと
恥をかきたくないからです。」
テレビを点けてるだけでテキトーに流し聞きしてたんだけど、ハッとしたよ。
確かに！
そして
それをテレビで言えるってすごいな。
（その後「なんてこと言わせるんだよー」って言ってた）
人前で話す機会がわりとある私。
今はそんなに緊張しないけど、昔は緊張したなあ。
はじめて１００人くらいの人の前でプレゼンテーションしたときのこと、今でもよく覚えている。
みんなペンを走らせながら真剣に聞いてくれてて、未熟な私は自分の足がガクガク震えていた。
そのプレゼンテーションは毎年ある。
最初の頃は原稿をまとめて、ストップウォッチで計りながら何回も何回もリーハーサルをした。
ある年、一緒にお仕事をしているエンターテイナーが私のプレゼンを見てたので、終わってからどうだった？と聞くと
「まあ、あんなもんじゃないですか」って返事。
あ、悪くはないけど、良くもなかったんだな、と思った。
彼らは、舞台に立って、お客さんに見てもらい、喜んでもらうのが仕事。
喜んでもらうには興味を持ってもらう必要があるし、喜ばれたときは印象に残る。
その道のプロに「あんなもんじゃないですか」と言われて、方針を変えた方がいいなと思った私は、それまではがんばって標準語を使っていたんだけど、翌年のプレゼンテーションでは大阪弁バリバリで話してみた。
その翌年は、原稿をつくるのをやめて、話すことの要点メモだけにした。
その翌年は、前のめりに一生懸命話し、
その翌年は、淡々と話した。
毎年パターンを変えてプレゼンテーションを試し、いい感じだったとこlろは残し、イマイチだと感じたところは変更し、
今は原稿を作るのをやめ、フツーに話すようになった。
前のめりでも、淡々とでもなく、何かを取り繕ったり演じたりもなく、普段の私のそのまま。
以前は、プレゼン対象のものが、どんなに良いか、どんな効果があるかを話していたのを、
今は、私自身の好きなポイント、私自身が感じたことを話すようになった。
慣れとともに、自分をそのまま出せるようになってきて、私の緊張度合いは減っていった。
昔の私は、自分をよく見せようとプレゼンテーションしてた。
そして、『自分が』感じたことを人前で言えなかった。
正論、正解を探して、それを話していた。
そんな私のプレゼンテーションは、つまらなかっただろうし、印象に残らなかっただろうな。
最近の私のプレゼンテーションがおもしろいかどうかはわからないけど、そのプレゼンからのお仕事のオファーが増えた。
あ、そういえば、「あのプレゼンテーションを聞いて、お仕事をお願いしようと決めたんです」と言われることが出てきたし、名前を覚えてもらえることが増えたってことは、
少なくとも印象には残るようになってきてるんだろうな。
恥をかきたくないってことは、自分のダメなところ、できないところを見られたくないってことで、
パーフェクトにできないことは恥ずかしいこと、ダメだと思ってるってことだよなー。
なんでもはじめからパーフェクトにはできないけど、そんなできない自分でも出す勇気を持てるといいよね。
たぶん、自分で思ってるほど、周りの人はダメだとも、恥ずかしいとも思ってないと思うんだ。
できない自分は恥ずかしいと思ってるのは、自分だけかもよ。
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