銀色の髪を持つ日に透けてしまいそうな少年がこちらをじっと見つめている。
綺麗なその瞳に、悲しいまでの敬愛を湛えて。
仮面越しで良かったと思った。誰にも知られずそっと目をそらした。
その尊敬ごと壊してやりたくなる。少年は何も、知らないのだ。
私の狂気を知らないのだ。
*
次の作戦の打ち合わせのために、クルーゼ隊はミーティングルームに召集された。しかし、そこには二人だけ。隊長であるクルーゼとそしてイザーク。嘗ての仲間は既に散り散りになっていた。ある者はザフトを離れ、またあるものは戦火の中命を落した。
「隊長!この合流地点のことですが。」
閑散とした室内に漂う、物悲しさを振り切るように、イザークは凛とした声を響かせる。クルーゼは仮面に覆われた顔を少し上げて、忠実な部下を見遣り、質問に対する答えを淡々と説明する。
しかし人数の少ない部屋にはすぐに沈黙が流れる。足りない何かを補うように、イザークは言葉を続けようとするが、それもまたすぐに途切れた。勝手の変わってしまった環境に戸惑いを隠せない少年は、目線を落し硬質な床の上、自分のつま先をみつめた。言葉はもう紡げなかった。
「イザーク」
突然名を呼ばれて、はじかれた様に顔を上げると、クルーゼの苦笑が目に入る。
「す、すみません」
何を謝っているのか分からぬまま、上官に頭を下げると、
「会議はもう終わりにしよう」
少しだけ優しい響きで、クルーゼはそう言った。
(2へ続く)
