「あれから、15年。(64)」
ディレクターFさんが日本から買って来て下さった浴衣地の反物。
いろんな色柄の反物があったよ。
オレはその浴衣地で、シンプルなドレス達、
ワンピース達を創る事にした。
シンプルだけど、女性らしい綺麗なラインが出る様に
何回もトワルを組んで、型紙を作成したんだよ。
一反から、二着か三着取れた様な気がする。
浴衣地のドレスは本当に可愛かった!
和と洋が可愛くミックスされている。
でも、これだけじゃまだ何か足りない…
オレの目指すと決めた「和と洋の融合」。
aliceやジュディ、ブラッドやHanna、Mitsuとかに、
外から見る、色んな和に対してのイメージをリサーチしてたんだ。
浴衣地のワンピースはもちろん大好評!
彼らのハートを射止めたよ☆
そんな中で和の世界の感覚。
【侘び寂び】と言うのを彼らに説明してみた。
けど、説明しても、
ただ、ポカーンとした顔をするの。
オレの得意のボディランゲージでいろいろと、
侘びのポーズも、寂びのポーズも取って見たけど…
侘び寂びの世界観、
多分、どの国の言葉にも訳せない独特の言葉、
独特の世界観だと思った。
【侘び寂び】これこそが、和の世界の特有な感覚だと思った。
よし!
オレがこのNYで、AKIUE-GOで侘び寂びの世界を表現してみようじゃないか!
オレはこの時点で既に、マンハッタン中の生地屋を把握する様になってたんだ。
このNYにある素材でオレが和の世界を、侘び寂びの世界観を表現したドレスを創って見よう!
………………
探すのは結構大変だった。
けど、どうしてもこのNYでの素材を使って和を表現して見たかったんだ。
それがきっと、オレが目指すと決めた「和と洋の融合」に繋がるから。
そしてやっと見付けたの。
それは愛らしいピンクの小さな小花が、
淡いレモンイエローの地に儚げに散って行く様な素材。
これなら、侘び寂びの世界を表現出来る!
しかし、問題があったんだ。
それは左から右へと小花が流れる模様。
これだとイメージ違っちゃう。
布地は通常、縦地で使う物。
これは殆どの布の織り方の性質。
縦だと伸び難く、横だと伸びやすいのだ。
花柄を美しく上から下にと使って、
横地使いになると、布が伸びてしまう恐れがある…
…いや、大丈夫。
この素材だ、巡り合ったんだ、
オレが求めてた侘び寂びの世界観。
和と洋の融合。
既成概念に囚われない。
生地巾はたっぷりあるから、横地で取ろう。
けど、縫製をしっかりと、縫い代にアタリが出ない様に補強して、
且つ、美しく縫い上げて見せましょう!
そして、出来上がったドレス達。
(レモンイエローがManhattanで仕入れた素材、グリーンが浴衣地)
3万ドルに向けてのAKIUE-GOのリニューアルが、
いよいよ始まった!