「あれから、15年。(62)オレのスタンダード」
Boweryでの夜明け。
34th Street & 8th Aveの高速バス乗り場まで歩いて行こう。
朝焼けのハドソン川沿いを歩きながら、
昨夜聞かれた言葉が浮かんだ。
一晩中考えてたから…
「What's your purpose in visiting this NY? 」
NYに来て、何度も何度も
本当に何度も同じ事聞かれたんだよ。
「オレはファッションデザイナー。
世界に羽ばたくデザイナーになる為にNYに来たんだ。」
オレはいつも、そう答えてたやん。
当たり前やったやん。
オレはその為に来てたんだよ。
…そう、オレはその為にこのNYに来たんだ!
来たんだ。
三ヶ月3万ドル?
ブヨちゃん?
知ったこっちゃない!
掛かって来い!
やって見なきゃまだわかんないやん!
オレ、何を弱気になってたんだろう…
何を逃げ出してたんだろう。
三ヶ月3万ドル達成してやるやん!
ブヨちゃんなんて、反対に手玉に取ってやるやん!
そして、阪急百貨店でも大成功をおさめて
そして、番組観てくれて応援してくれてるみんなに見てもらいたい。
そして、日本にいる母さんを喜ばせる!
………………
「あのな、母さん
オレがNY行ったらどうする?
母さん、一人なるやん」
オーディションに応募したあの日、
まだ何も始まってないのに、
ただ応募書類を出しただけの段階なのに
もうNYに行く気になってる息子…
そんな馬鹿な息子に、母は
「行って来なさい。
母さん大丈夫やから。
絶対に受かるわ。
なんの心配もしなくて良いからね。
頑張りや。」
あの始まりの時から、オレは夢を叶えて
母さんを喜ばせようって、決心してたやん!
オレ、まだチャレンジ仕切れてないやん。
何を悩んでたんだろう?
母さん、ごめんね。
オレ、立ち直るわ!
うん、もう立ち直ったから心配したらあかんで。
………………
オレのスタンダード。
朝焼けを照り返すハドソン川に向かって
「バカヤロー!」
叫んで見た。
スッとしたよ、スッと。
………………
この時の、オレの記憶は不思議な事にここまで。
記憶がないんだ。
だけど、オレは戻った。
番組の元に、
HannaとMitsuが待つAKIUE-GOに、
オレがその時居るべき場所に……
まじでどうやって、どんな面下げて戻ったんだろう?
さようなら、フィラデルフィア☆
(行ってないけど… (≧∇≦))
【ASAYANのデザイナー、謎の失踪事件】
-これが、15年前
オレが起こした、番組では決してOA出来なかった、秘密の事件でした-