「あれから、15年。~暇話(14)真夜中のコインランドリーで、魚は泳ぐ~」
日本での阪急百貨店への出店が決まっても、それに少しも浮かれてなかったと言えば嘘になるけど、
それよりもオレにとっては、このNYの「AKIUE-GO」を守る事が頭の中でいっぱいだったな…
3ヶ月3万ドル、当初は本当に純粋な目標だったのに
様々な流れの中で、それがノルマとして浸透して行ってしまった。
正直、不満。
そして不安だったよ。
でも負けてられない!
ディレクターのFさんとね、対策を練ったの。
本当はこのEast Villageで、NYで純粋な売上を立てないと未来はない。
けど、この頃は連日
日本から沢山のお客さんが応援に駆け付けてくれてた。
Fさんと相談して、話し合って
売上を立てるための、第一の策として
「お土産」的な商品をつくる事にした。
もう、タイムリミットは始まってた。
日本から応援に駆け付けて下さるお客さん達に
助けて貰う事にした。
ちょうど、もうNYの春は終わる。
Tシャツをつくることにした。
まず、Tシャツのロゴのデザイン。
プリントは工場に頼む事にして、
ロゴの図案や版下まで工場に頼んでたら、予算もバカにならないし、
いくら売上を立てたいからと言っても、
せっかく日本から駆け付けて下さるみなさんに、少しでも価格を抑えた商品を購入して頂きたい。
この時、オレは初めてIllustratorを使ったんだ。
まったくの素人。
知識もまったくなかったけど、先述のMacintoshがオレの手元にあった。
ギックンに猛特訓を受けて、オレはなんとかロゴのデザインをした。
ギックンに頼む手もあったけど、どうしても自分でやり遂げたかったんだ。
どうしても…
そして生まれたのが、魚マークの「AKIUE-GO」のロゴ。
↓このロゴは日本に帰って来てから「AKIUE-GO」が、後に全国展開してた頃のブランドロゴ。
NY時代はまた違うイメージかな…
魚のロゴ
これには二つの、思い入れがあったの。
高二の時、同じクラスにめっちゃデッカい女の子が居たの。
漢字は忘れたけど、ユキさんって女の子。
ラスボス的な女の子。
その子がね、オレの事
魚に似てるー☆
半魚人、半魚人言うねん。
オレね、高一から高二に進む時
最初、理数科に進んだんだよ。
まぁ、あとあとデサイナーを志すきっかけにもなったエピソードがあるんだけど、
(機会があれば、いずれ書くかも!)
理由あって、新学期が始まって少しして、普通科に転科してん。
そして、その後ちょっとした事故で
右足太ももの筋断裂で入院。
だからね、クラスに馴染むスタートが遅れたの。
そんな時、ユキさんに
「半魚人に似てる」って言われてね、なんか
キッカケと言うかさ、なんかやっとクラスに馴染めた気がして。
↓高二の時、半魚人のオレ☆
部活の遠征帰り。
「半魚人に似てる」ってのが、めっちゃ嬉しかった☆
なんか、懐かしい思い出だし
実際似てるしなぁー!って。
それともうひとつ。
オーディション中の共同生活で、いろいろありながらもガヤガヤとみんなで過ごしてたわけ。
洗濯物もさ、共同生活のアパートメント近くのコインランドリーで、
二人くらいが担当で一緒にコインランドリーに通ってたわけ。
グランプリを取って、高級アパートメントの地下にコインランドリーはあるし、楽にはなったけど。
なってんけど。
正直、コインランドリーで一人になるとさ
先に帰国したみんなの事思い出して、
寂しくて寂しくて、辛くて辛くて、
いっつも泣いててん。 (≧∇≦)
スタッフさんも居ないし、カメラも回ってないから、
ホッとして…
連日徹夜で、気持ちも疲れてたし、オレ甘いから。
寂しかった。
なんで、オレNYにひとりでいるんだろう?
その時に口ずさんでた歌が、
柳ジョージさんの
「Coin Laundry Blues」
…………
…真夜中のコインランドリー
冷たい雨が窓を叩いて
最後の服を洗い終わったらこの街を出て行こう
…オレ達はただの魚さ
河の流れまでは変えられない
流れて行く海もまたひとつだけ
だからその日だけがオレ達のすべて…
…………
なんども、なんども
いつもこの歌を口ずさんでた。
そして、一人泣いててん。 (≧∇≦)
オレはただの魚なのかな…って…
でもね、「泣き虫デザイナー」なんて言われてたけどさ、
オレ本来、人前でなんて決して泣かないんだよ。
泣くのは一人の時だ!
だから、オレは強い魚になりたい!
だだの魚は嫌だ。
これがAKIUE-GOの魚ロゴのもうひとつの理由。
…思えば「コインランドリーブルース」
オレがもうすぐ起こす「ある事件」に火を付けた気もするよ☆
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