大阪ラバー 追憶の恋<第1話 出会い>

 

 

 

今年の4月に、大切な女性を失った

その人は「まぁと一緒にいる時が一番幸せや」と言ってくれた
俺もそうだった

今まで付き合ったどんな相手とも経験できなかったことをたくさん二人で経験した
俺はその娘のことが大好きだった

この世の何よりも大事な人だと思っていた
思っていたけど、でも二人の関係はそう長くは続かなかった
この世界にはどうしようもないことがある


俺は弱いのかな、すぐに忘れようと思った
思ったけど、忘れることなんてできないんだ

もう二度と前みたいには戻れない

なにが変わってしまったのか

きっと二人のなにかが変わってしまったんだ

それは確かだと思う

 


終わってしまって気付くこともある
だけどもうどうしようもないんだ
 

本当に好きだった

けど、終わってしまった

いや、いつか終わらせなけばいけなかった

始まった時から終わりがあることを二人ともわかっていたから

 

本当は

 

始まってはいけなかった

 

でももう果てがないくらい愛してしまっていた

想像を遥かに超える程の「好き」だった

40年も生きてきてこんなに人を好きになるなんて思わなかった

毎日好きだった いつも考えていた

 

思い出が増えれば増える程

別れが辛くなるのもわかっていた

けど、もう遅かった

もう彼女は俺の全てになっていたから

寂しい、悲しい

想像を絶する孤独感に苛まれている


もし、はじめから出会っていなければ
あんな関係になっていなければ

こんなまるで世界の終わりに独りぼっちの様な孤独感も消失感もなかったのかな

ただ、今は前向きにはなれないけれど

あんな奇跡のような出会いと

奇跡のような毎日をありがとう

忘れられない

忘れない

忘れたくない

俺の大切な人

<第1話 出会い>

 

それは突然だった

「かっこいいですね」と唐突に君は言った

「えっ?」

いきなり目の前に現れた天使の様に輝く女性から

正に自分に向けられた言葉としか思えない強い眼差しで見つめられ放たれたその言葉に俺はひどく困惑した

 

「彼女はいないんですか?」

間髪を入れずに立て続けに彼女は問いかけた

「結婚してるよ」

そう短い言葉で返すのが精一杯だった。

彼女は笑いながら

「知ってるよ 薬指見たらわかる そうじゃなくて か・の・じょ!!」

と更に語気を強めてきた

 

「い、いぃひんよ、俺モテへんし」

 

これは連れについて始めて行った婚活パーティーでの一幕

 

「良かったらメールしませんか」

彼女はその場にあったメモを手に取り、自分の携帯番号とメールアドレスを書いて

俺に渡してどこかへ行った

 

家に帰ってからもずっと困惑していた

彼女は何かの勧誘の人なのか

俺をだましてお金を取ろうとしているのか

しかし、びっくりするほど彼女は可愛かった

すらっと背が高く、華奢な身体も本当に天使の輪が見えそうな程の綺麗な黒髪も

ずっと心の中で自分が作り上げていながら誰にも言わずにいた理想のタイプそのものだった

もし彼女が本当に俺のことをカッコいいと心の底から思ってくれていて出た言葉なのだとしたら、

俺はもう今死んでしまっても後悔が残らない程の嬉しさ

そして高揚感、充足感

その夜は胸の高鳴りを抑えることも出来ずほとんど眠れなかった

 

つづく

 

<補足>

俺が結婚しているのに婚活パーティに行ったこと、

しかも指輪をつけたままとか・・・

これはただ、連れの結婚相手を一緒に探してあげたかったんだ

と言うことにしておいておくれ