今日(4月10日)の中国新聞に、市長が「議会だより」の予算執行を保留したと報じられています。

この処置によって、3月議会での議論や議決された議案についての情報が記された「議会だより」は発行できなくなりました。

年4回ある定例議会でも、3月の定例議会は、市長の施政方針が示され、それの基づいた予算が審議・議決されますので、最も重要な議会だとされています。

市民がその詳細について知る手段が奪われたのですから、極めて大きな問題です。



地方自治法第149条に、市長が担任する事務が列挙されていますが、その第2号に、
予算を(略)執行すること。



とあります。

これを長の予算執行権といい、予算を執行することは、市長の権限になっているのです。

市長はこの権限を使って、「議会だより」の予算執行を保留したのです。



一方、「議会だより」の予算については、市長が提出した「再議」が否決されています。



このことは、市民を代表する議決機関(議会)が、「市民の意思」として二度にわたり議決したということです。しかも、議会基本条例には、



第 14 条 議会は、議会の活動に関する情報を公開し、市民に対する説明責任を果たさなければならない。



とあり、議会だよりは、「市民に対する説明責任」を果たす重要な手段なのです。



市長が取るに足らない理由を口実に執行権を振りかざし、「議会だより」の予算執行を保留することは、議会の自律権へ介入する暴挙だと言われても仕方がないことです。



さて、中国新聞によると、市長は知事への「審査の申し立て」を示唆しているようです。



しかし、市長の主張した「違法議決」は「(議会の予算の修正は)予算の趣旨を犯す」ことでしたが、「予算の趣旨を犯す」とは、「一般的には予算案に新たな「款」または「項」を加えたりする」ことです。

今回の議会での予算の修正は、款・項を新たに加えたものではありませんので、市長が主張する「違法議決」には当たりません。

市長は法的無知をさらけ出して再議に付していたのです。

したがって、市長が知事への「審査の申し立て」をすれば、知事だけでなく市民の失笑を買うだけです。

したがって、市長の知事への「審査の申し立て」はできるはずがありません。



ただ、市長は信奉者の注目を浴びることしか関心がないようですから、予算執行の保留を続けて騒動を引き延ばし、ネットを賑わし続けることは止めないでしょう。



安芸高田市の市長は、この程度のものだということです。